ヘッジファンドとは何か|投資信託との違いや仕組み・リスクを簡単に解説

ヘッジファンドとは、利益の追求を目的として、富裕層からお金を集め、主に投機的な手法で利益を出していく資産運用会社のことです。公募でお金を集め多くの場合、トピックスに連動した運用方法を用いる投資信託とは違い、市場の状況に合わせてあらゆる手法を用いることから、好景気・不景気に関係なく儲けを出していく金融のプロ集団です。

と、少し小難しい説明をしてしまったかもしれませんが、この記事ではヘッジファンドについて、さらに掘り下げて、初心者にもわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、彼らがどういう存在なのか、ヘッジファンドの存在が個人投資家に、どう影響するのかということがわかります。ぜひリラックスして記事を読み進めてみてください。

1.ヘッジファンドをわかりやすく教えます


ヘッジファンドと聞くと、なんだか恐ろしいイメージがあるかもしれません。手段を選ばず、巨大な資金を使って、個人投資家からお金を巻き上げるエリート集団。そのイメージは、案外当たっているかもしれません。この章では、ヘッジファンドについて、基本的な知識を身につけていきましょう。

1-1.ヘッジファンドとは?意味を簡単に解説

ヘッジファンドとは、一言で言えばプロ中のプロの資産運用会社と言えるでしょう。資産家から資金を集め、ありとあらゆる手法で金融商品を運用して利益を追求します。組織を構成するのは、MBAなどを優秀な成績で卒業した世界でもトップクラスのエリートたち。その年収は1億〜6億程度といわれています。

そう聞くとあなたも、ヘッジファンドに資産運用を任せてみたいと思うかもしれません。とはいえ、ヘッジファンドに運用を任せられるのは、条件によって選ばれた資産家や機関投資家のみ。ですから、ヘッジファンドへの最低投資額は通常、数千万から数億円になるのが一般的でした。

しかし、最近では、投資信託などでヘッジファンドを組み入れたものも販売されており、比較的少ない資金でヘッジファンドを利用できるようになってきました。ヘッジファンドの特徴として、市場の動向に左右されにくいということが挙げられます。

1-2.日本にもヘッジファンドはあるの?

有名なヘッジファンドは、海外が拠点のものばかりです。では、日本にもヘッジファンドはあるのでしょうか? 日本ではヘッジファンドという言葉はあまり使いません。類似のものに、私募ファンドプライベートファンドと呼ばれるものがあります。これもヘッジファンドと同じように、限定的な投資家を対象とする資産運用会社です。

私が昔勤めた会社で、証券会社で長く働いていた方がいました。当時50がらみの人で、特に株の空売りが得意だとおっしゃっていました。ある時、「自分も会社を持っている」とその方は打ち明けてくれました。「資本さえあれば株式投資でいくらでも儲けることができる。だから資産家から資金を募り、株式で運用する会社を作った」というのです。まとまった資金が集まると、会社を辞めていかれました。その当時は、ヘッジファンドやプライベートファンドという言葉を私は知らなかったのですが、今思えば、彼の会社が日本におけるヘッジファンドといえるのかもしれません。

1-3.ヘッジファンドの仕組みや投資信託の違いとリスク

投資信託は、主に公募で資金を募ります。公募とはお金さえ出せば、基本的に誰でも参加できるということです。それに対して、ヘッジファンドは私募で資金を集めます。私募とは、適格なお客のみを相手にするということです。

公募だと色んな意見を持った人が参加します。公募で資金を集める投資信託は、不特定多数の人たちを納得させる資産運用をする必要があります。ですから、投資信託では、日経平均株価に連動した運用をするのが一般的です。このような運用をする投資信託をインデックスファンドと呼びますが、例えば、日経平均株価に連動するような組み合わせで、ポートフェリオを構成します。そうしておけば、万が一儲けが出なくても、日経平均株価が下落しているから儲けが出ないというふうに、言い訳できますよね。また、より積極的に利益を出していく、アクティブファンドでさえ空売りはしません。基本的に買いのみで運用しているので、不況下で利益を出すのは相当困難なはずです。

一方、ヘッジファンドでは、私募で募った理解者たちが資金を出しているのですから、好きな方法、得意な方法で資産運用ができます。これがヘッジファンドがより儲けを出せる仕組みです。

具体的には、ヘッジファンドでは、投資信託とは違い空売りなども実施します。さらにレバレッジも積極的に使ってきます。ですから、景気が悪くて相場が下落局面でも多額の利益を出すことができるのです。ただし、より多くの利益を出す可能性があるということは、より大きな損失を招く可能性もあることを示唆しています。

実際に、コロナ禍の中では大きな損失を出したヘッジファンドも多いようです。これまでのパターンからは考えられないような価格変動や、ボラティリティの高さが原因でしょう。このような事例を見ると、ヘッジファンドには大きなリスクもあると言わざるを得ません。

また、一般的に投資信託は半年以上の長期で銘柄を保有するのに対し、ヘッジファンドは儲けが出るなら、一日で売買を完結することもあります。このように、絶対的な利益を追求する集団がヘッジファンドなのです。

2.ヘッジファンドが個人投資家に与える影響や決算時期


これまでの説明で、何となくヘッジファンドというものが理解できたのではないでしょうか。ヘッジファンドがお金持ちしか相手にしていないなら、「今の自分には関係ない」とあなたは思ったかもしれません。しかし、あなたが投資行動をするなら、巨額の資金を持つヘッジファンドの動向は確実に影響してきます。

2-1.FXに与えるヘッジファンドの影響

FXなどの相場では、ストップ狩りという言葉が時折使われます。ストップ狩りとは、たとえば、多くの人がここまで下げたら損切りをしようと考える価格まで、巨額の資金を使って、売り込んでいくことです。

皆が損切りしようと考えているラインまで価格が下がれば、当然、多くの人が損切りを実施します。皆が損切りをするのですから、価格は一気に下がることになります。価格が一気に下がった時に売っていたポジションを買い戻せば、多くの利益が出ます。これがストップ狩りですが、ヘッジファンドは、儲けのためならこのような戦略も平気で実施してきます。

2-2.ヘッジファンドの決算時期と45日ルール

統計によれば、ヘッジファンドの多くが決算時期を5月末や11月末にしています。そして、多くのヘッジファンドは解約は決算日の45日前にしなくてはならないというルールを設定しています。つまり、決算日45日前の期限が近づくにつれて、お客から解約の申し出が出てくるということです。

解約が出れば、ヘッジファンドはお客に資金を返す必要があります。そのために、ポジションを決済して現金を用意しなければならなくなるということです。となると、決算日の45日前は、ヘッジファンドの決済売買で相場が大きく動く可能性があるということを示唆しています。
しかし、これはあくまで統計上のことで、ヘッジファンドには規制やルールがほとんどないのが普通です。こういう傾向があるという程度に、知識として頭の片隅にとめておくとよいでしょう。

なお、FXや株式などについて、本当に大切な考え方を学びたいなら、以下の記事を参考にしてみてください。経営の視点から投資について語っています。あなたが、なぜか投資で儲けられないなら、大きなブレークスルーにもつながる内容になっています。

FXで勝つコツ|勝ち方がわからない人に伝えたい稼ぐための本当のルール