クロス円とは|特徴や計算方法、ドルストレートとの違いや相関関係を解説


「クロス円って、たまに耳にするけどどんな意味?」「クロス円のことを知ると、取引を有利にできるの?」「クロス円とドルストレート、どっちで取引するのが有利?」
あなたは、こんな疑問をもって、この記事を開いてくれたのかもしれません。

ここでは、クロス円の意味や特徴をわかりやすく解説します。また、クロス円とドルストレートの相関関係を知ることで、取引を有利にすることも可能です。あらゆる通貨ペアの取引に利用できる考え方ですので、この記事でしっかりチェックしておきましょう。

1.クロス円とは|ドルストレートとの違いをわかりやすく解説


クロス円は英語表記にすると「yen cross」になります。このクロス円はどんな意味なのかや、計算方法などについて解説します。

1-1.クロス円の意味をわかりやすく教えます

クロス円とは、日本円が絡む通貨ペアのうち、ドル/円以外を指します。つまり、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円などは、すべてクロス円と呼びます。日本円が絡む通貨ペアのうち、ドル/円だけはドルストレートと呼ばれています。また、ユーロ/ドル、ポンド/ドル、ドル/スイス、など、米ドルと直接絡む通貨ペアはすべてドルストレートです。

1-2. クロス円の仕組み|特徴とドルストレートとの関係

なぜこのように区分けされているのかというと、FXは基軸通貨である米ドルを中心に行われているためです。日本円を米ドル以外の通貨に交換しようとすると、いったん日本円をドル円に換えてから、米ドル以外の通貨に交換するのが一般的です。でもこうした手続きは煩わしいということで、この手順を省くために次項のように簡略化して計算し円滑に取引を行います。このようなことから、クロス円と呼称されるようになったというわけです。

上記のようにクロス円はいったんドルに換えて他国の通貨と交換するため、理論上1回の取引で2回手数料がかかるわけです。ですから、ドルストレートよりもスプレッドが広い場合が多いです。また、クロス円は両国の通貨の影響にプラスして、ドルの価値の影響も受けますので、ドルストレートよりもより値動きが荒くなりがちです。つまり、値幅の変動が大きくなるケースが多いということです。

1-3.クロス円の計算方法

クロス円の計算方法自体は、かんたんです。ここではユーロ/円を例に挙げて解説します。
単純にドル/円とユーロ/ドルを掛け合わせることで、ユーロ/円のレートが計算できます。

式にすると以下になります。
(ドル/円)×(ユーロ/ドル)=(ユーロ/円)

たとえば、ドル/円のレートが108.552円で、ユーロ/ドルのレートが112.052ドルだった場合、それらを掛け合わせて、ユーロ/円のレートは121.641円と算出できるわけです(注:実際のレートはスプレッドなどの関係で誤差があります)。

2.クロス円とドルストレートの相関関係で流れを読む


クロス円はとドルストレートは取引するならどちらがいいでしょうか。上述したようにクロス円は値動きが荒くなりがちなことから、特に初心者はドルストレートから取引を始めることをおすすめします。また、FXの手数料に相当するスプレッドも狭い場合が多いことも推奨する理由です。

けれど、たとえドルストレートを取引するにしても、クロス円の値動きを見ることはドルストレートの現在の状況を把握するのに、非常に有効です。反対に、クロス円を取引するときにも、ドルストレートの値動きが参考になります。この章では、両者の値動きの相関関係を見ることで、今相場はどのような状況かを把握し取引を有利にする考え方を解説します。

2-1.クロス円単独の流れを読むのは難しい

クロス円単体の値動きを読むのは難しいです。なぜなら、上記でも書きましたが2国間の値動きだけではなく、ドルの値動きも複雑に絡んでくるからです。単純に2国間の関係性だけでは、成り立っていないということですね。ですから、予想するにはクロス円だけの値動きを見ていても、現状を正確に把握しづらいのです。ではどうすればいいのでしょうか。事項で説明します。

2-2.3つの相関関係で相場の流れが明確に

たとえばあなたが、クロス円、例えばユーロ/円を取引していたとして、現在どのような状況かをなるべく正確に掴むには、少なくとも3つのチャートを見る必要があります。一つはもちろんユーロ円のチャートです。それに加えて、ユーロドルとドル円のチャートを合わせて見るのです。例を挙げて説明しましょう。

ユーロ/円のレートの強弱をみるには、ドル/円とユーロ/ドルのレートを見ると現状認識がしやすくなります。
たとえば、ドル/円が上昇している一方で、ユーロ/ドルが下落している場合、ユーロ/円のレートはどうなるでしょうか? ユーロ円のレートはドル/円とユーロ/ドルを掛け合わせたものですから、ドル/円の上昇とユーロ/ドルの下落が打ち消しあい、ほぼ横ばいで推移すると予測することができます。

では、ドル/円とユーロ/ドルがともに下落している状態ではどうでしょうか? ユーロ/ドルはドル/円とユーロ/ドルの影響をともに受けるわけですから、大きく下落していく可能性が高いと考えることができます。

このような、認識はユーロ/円のチャートを見ていただけでは得られないものです。ぜひチャートを見るときは、取引している通貨ペア以外のチャートも開いてみて、それぞれの相関関係で相場の強弱を測ると勝ちトレードを増やすことができるでしょう。

3.おわりに|クロス円の取引には注意が必要


いかがだったでしょうか。クロス円は大きく稼げるチャンスも多いですが、スプレッドが広くなりがちなことと、読み違えると大きな損失につながることに注意が必要です。

また、通貨の価値は相対的なものです。ぜひクロス円を取引する際にも、ドル/円などの別の通貨ペアとの相関関係を考えて、現在相場がどういう状況なのかを把握してから取引することを心掛けてほしいです。あなたが大きく利益をあげることを願っています。