FXトレンドの見極め方|トレンドラインの引き方と不都合な真実


FXでは、トレンドという概念を熟知していないと、大きな儲けを出すことは難しいでしょう。後からチャートを見て、「これがトレンドです」と言うことは極めて簡単なことです。けれど、流れの中にいては、現在がトレンドなのかそうでないかを見極めることは困難な場面も多いでしょう。

そこで、この記事では、数々のトレンドに乗って、実際に利益を上げてきた著者が、実践的なトレンドについてどう考え、どう行動すればいいかなど、取引するうえで重要なポイントについて解説します。この記事があなたの利益に寄与することになればうれしいです。

1.FXのトレンドの意味や見極め方と割合


まずは、FXでいうところのトレンドとは何かについて、簡単にお伝えしておきます。もしそんなことはすでに知っているという方は、2章から読み進めていただいても差し支えありません。著者と読者が考えるトレンドという言葉を、一致させるために設けられた章です。

1-1.FXのトレンドとは

トレンドとは、直訳すれば「流行」や「潮流」ですが、FXでは上下どちらかに強い流れが現れることを指します。具体的には、次々と高値を切り上げ、価格が上昇し続けることを上昇トレンド。反対に、安値を切り下げながら、価格が下がり続けることを下降トレンドと呼びます。

1-2.FXのトレンドはどれくらいの比率で発生するか

上にも下にも大きな流れがない拮抗した状態をレンジと言いますが、一般的にFXなどの相場ではレンジが7割、トレンドが3割の比率で現れるとされています。

私の実感としては、レンジが8割トレンドが2割の比率で出ているようなイメージです。けれど、トレンドとレンジの比率は時期によっても違っており、期間を長くとればとるほど、7対3に近づいていくものと考えられます。

2.FXでトレンド転換の注意点と見極め方


ここでは、トレンド転換についてぜひ知っておいてもらいたいことや、トレンドの見極め方について解説していきます。

2-1.トレンド転換の見分け方|転換を判断する危険性

あなたは、トレンドがちょうど転換する点を見つけたいと思っているのかもしれません。確かに後からチャートを見れば、ここで売買をしておけばよかったと感じるような地点が存在します。でも、そうした地点で売買をしようと試みるのは、かなり無謀な行為です。

過去のチャートを見ると絶妙な地点で売買できそうな気がしますが、実際にはそこで売買するのは相当難しいからです。なぜなら、一般的な投資家が天井や底で売買できるのは、一生で1、2度という確率の低さだからです。そんな低い確率に賭けて、FXで取引をすれば、結果は言わずもがなです。

ですから、トレンドの転換点そのものを狙うのではなく、トレンドがある程度形作られたところで売買するのがセオリーになります。転換点そのものを狙ってのトレードを繰り返せば多くの場合、資金が尽きてしまうでしょう。

相場格言に「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉があります。頭とは天井で、尻尾は底ですね。欲を出して、こうした地点で売買しようと考えるのではなく、明らかにトレンドが出てから売買することが結果的には大きな利益を残すのです。

2-2.トレンドラインの引き方の4つのポイント

現在トレンドがでているのか、そうでないのかを最も簡単に見極める方法の一つにトレンドラインを引くことがあります。特にFXではトレンドラインを目安に売買している人が多いことから、機能しやすいといわれている指標です。

ではトレンドラインは、どのように引けばいいのでしょうか。
まずは、価格が上がっていく、上昇トレンドの場合のトレンドラインの引き方について説明しましょう。上昇トレンドの場合、安値を結ぶように引いていきます。下降トレンドの場合は、安値を結ぶように引いていきます。


【上昇トレンドラインの場合※赤い線がトレンドライン】

トレンドラインを引く際の注意点は、以下の4点です

(1)高値・安値を更新してから引く
(2)皆と同じになることを意識して引く
(3)複数のラインを引いて最もしっくりくるものを残す
(4)基本はヒゲも含めて引く
(5)45度が理想的な角度

順番にみていきましょう。

(1)高値・安値を更新してから引く
上昇トレンドの場合、高値を更新してからトレンドラインを引きます。
下降トレンドの場合は、安値を更新してからトレンドラインを引きます。

(2)皆と同じになることを意識して引く
トレンドラインを引く目的は、他の市場参加者がどこで売買するかを可視化することです。ですから、自分だけのオリジナルラインを引いても全く意味はありません。ぜひ、トレンドラインを引くときは他の大勢の人たちは、どこを目安にトレンドラインを引くだろうかということを意識してみてください。

(3)複数のラインを引いて最もしっくりくるものを残す
一発でトレンドラインが引けるとは思わないでください。トレンドが出ていてもどこを山と考えてどこを谷と考えるかで、ぜんぜん違うトレンドラインになります。ですから、とりあえず複数引いてみて、その中から最も多くの人が引いていそうなラインを残すことが重要です。

(4)ヒゲも含めて引く
ローソク足のヒゲも含めて結ぶのか、実体のみを結ぶのかよく議論になることがあります。
私は、基本的にはヒゲも含めて結ぶのが正解だと考えています。なぜなら、ヒゲや実体という概念は日本で開発されたローソク足チャートにしかないからです。欧米などでは、バーチャートのというヒゲも実体も含めて一本の線で表すバーチャートもよく使われています。バーチャートでトレンドラインを引こうとすると、ローソク足チャートでいうところの、ヒゲを含めてトレンドラインを引くしかないからです。
なるべく多くの点を結んだラインの方が信頼性が高いといえます。なぜなら多くの点を結べるということは、そのトレンドがより多くの人が支持しているトレンドだと考えられるからです。

(5)45度が理想的な角度
トレンドラインは45度が理想的な角度だといわれています。海外では45度以外は、トレンドではないと判断する方もいます。ですから、45度からあまりにも離れすぎていると、それは機能しないトレンドラインになってしまう可能性が高いといえます。

上記をもとに、自分でもチャートにトレンドラインを引いてみましょう。なぜ引いてみてほしいか、次章で説明します。

4.FXでトレンドラインがうまく引けない理由


上記をもとに、実際にトレンドラインを引いていただけたでしょうか? もしかしたら、理想的なトレンドラインが引けたという人がいるかもしれません。でも多くの人が、「何となく引けたけれど何処となくズレている。トレンドラインを少し越えてから、反転しているように見える」と感じたのではないでしょうか。その理由をこの章でお教えしましょう。

4-1. 完全なトレンドラインを引くことは不可能

上記で、皆が引きそうなところにトレンドラインを引かなれれば意味がないという話をしました。けれど、実は、皆が全く同じトレンドラインを引くことは、根本的に不可能なのです。なぜなら、ヒゲの最高値・最安値は、スプレッドなどの関係で、各FX会社によって異なっているからです。ヒゲの最高値・最安値は少しのズレで、全然違うトレンドラインになってしまいます。

4-2.トレンドラインは帯状に見る

よくトレンドライン信者がいますが、自分で引いたトレンドラインを、あまり厳密に考えすぎないことをおすすめします。あくまでざっくりとトレンドの方向性を見るツールだと考えた方がいいでしょう。私の場合、トレンドラインは線というよりは、帯のようなイメージで取引したほうがうまくいきます。また、以下のように基点から3本程度トレンドラインを引いてみて、トレンドの強弱を測るものとして使うと、有効な目安になることが多いです。

下降トレンドの場合、同じ起点から異なる山(高値)に注目してトレンドラインを引いたのが上図です。一番上のトレンドラインは1番目に山を作った時のトレンドラインです。結局3点目は結べず今のところ機能していないラインです。

一番下のラインは時間が進み、更に下落したときに作られた小高い山に引いてみたラインです。後になってみると意外と機能していることがわかります。

真ん中のラインは、最後に引いたトレンドラインです。時間がさらに進み、多くの人がこのあたりを意識してトレードしているというイメージです。

3本の線で、このようにざっくりと流れを計測します。一番下のトレンドラインと真ん中のトレンドラインの間に価格があるうちは、まだ下落余地があると考え、一番上と真ん中の線の間のゾーンに価格が入ってくればそろそろトレンドの終わりだと判断します。

おわりに|トレンドラインは流れをみるもの


いかがだったでしょうか。トレンドラインは完全なトレンドラインを引くことは不可能だということや、実際にトレンドラインを使って、どのように取引すればいいかの参考になればうれしいです。

トレンドラインを上手に使えば相場の流れや、反転の可能性を知るための有効な指標になります。ぜひ、あなたもトレンドラインの真実をしったうえで、トレンドラインを活用してみてください。