長期投資のメリットと失敗したときのリスク|最もカンタンなやり方とは?


あなたは、「長期投資ってどんなもの?」「長期投資は何がいいの? デメリットもあるの?」「長期投資って難しそう」と感じていませんか? また、「長期投資って損することもあるの?」「長期投資の注意点は?」「何に長期投資すればいいの?」と考えているかもしれませんね。この記事では、実際に長期投資でも資産を運用している著者が、初心者にもわかりやすく長期投資について解説します。

あなたが、長期投資に注目しているということは、やはり将来のお金のことについて少なからず不安があるからでしょう。長期投資を始めると、こうした不安は緩和され、お金を自分の将来にとって有利な方向に使うこともできるようになるでしょう。


 

1.長期投資とは?種類や期間を解説


まず長期投資とは、どういうものなのかを解説していきましょう。とはいえ、私の考える長期投資は、一般的に言われている長期投資とは少し違うかもしれません。なぜなら、単に長期間投資すれば長期投資の旨味が得られるかというと、そうではないからです。では、長期投資の本当の旨味とは何でしょうか? このことについても解説します。

1-1.長期投資とは何か|期間や意味を解説

長期投資に明確な定義はありませんが、一般的には3年以上の期間、株式などの金融商品を保有し続けて、その値上がりで利益を得ることを言います。人によっては1年や2年で長期投資だとする場合もありますし、5年は保有しなければ長期投資ではないと考える人もいます。長期投資という言葉は、それくらい曖昧に使われているのが現状です。

しかし、本当は、10年以上保有しないと長期投資をする意味はありません。なぜなら、長期投資で一番旨味得られるのは、複利運用といって配当金などの利益を元々の元本に加えて運用することだからです。

ところで、闇金融でお金を借りると、利息が高くて、借金が雪だるま式に増えていくということを聞いたことがありませんか? たとえば、100万円を借金して月に10%の利息がかかるとします。1ヶ月後には利息が10%かかって、借金は110万円になります。これくらいなら、なんとか返済できそうですよね。

しかし、2ヶ月目には利息がついたこの110万円に10%の利息がかかります。そうなると借金の総額は121万円。そして3ヶ月目になっても借金が返せなかったら133.1万円です。この調子で1年後に返済しようものなら、借金の総額は約259.4円にもなります。借りた100万円をとっくに超えてしまいました。

上記を複利の効果と言いますが、長期投資で旨味を得るには、この闇金融がやっていることの逆をやるイメージです。とはいえ、闇金融のような暴利なことはできませんから、同じような効果を得るには10年以上の期間が必要だということなのです。

1-2. 長期投資の種類|個別株や投資信託

長期投資には、明確な定義はありませんから、どんな投資対象であっても長期間保有すれば長期投資ということができます。一般的には、株式の個別銘柄や、投資信託、不動産、国債や社債などを長期間保有して、利益を目指すケースが多いです。

この中でも個人投資家の長期投資で人気があるのは、株式投資と投資信託です。これらには、もちろんリスクもありますが、複利の効果を得やすい投資対象だからでしょう。また、国債はリスクなしで利息の年率0.05%を狙うものですから、利益もかなり緩やかです。

2.長期投資のメリットとリスク|短期投資との違い


ここでは長期投資のメリットを、短期投資との比較も交えつつ解説しましょう。短期投資とは、ここでは1日から数ヶ月程度株式などを保有して、利益を得ること目指す投資と定義します。また、長期投資ならではのデメリットや注意点も存在します。あなたが今後、長期投資をする可能性があるなら、この章でしっかり把握しておきましょう。

2-1.長期投資のメリット4つ

(1)複利効果を得やすい
長期投資を最大限活かすには、何と言っても前章で紹介した複利の効果を狙いたいものです。10年スパンの長期投資なら、この複利の効果を狙っていくことができます。そして、この複利の効果は投資年数が多くなればなるほど、大きくなります。

(2)日々の時間を取られないし不労所得となりえる
私は短期投資もしていますが、短期投資のデメリットは何といっても時間を取られるということ。株式のデイトレード(1日で売買を終える取引)をするなら、その都度銘柄を吟味しなければなりませんし、値動きの分析もしなければなりません。株で稼いでいる人は、全員不労所得を得ていると考えている人もいるかもしれませんが、短期売買となればその限りではありません。短期売買で利益を得ようとするなら、トレードが終わった後もその日の売買分析も欠かせません。つまり、やることが多くて仕事しているのとそれほど変わらないので、とても不労所得とは呼べないのです。

その点、長期投資であれば、複利で資産が増えるところまで持っていけば、本当の不労所得にもなり得ます。もちろん、最初は勉強したり、銘柄を選定したりとやることはありますが、短期投資のように付きっ切りで自分が動かなくてもいいのが、長期投資のメリットでしょう。

(3)売買のコストを下げられる
株式売買では、株を売買するたびに手数料を取られます。デイトレードなどで一日に何度も株を売買していたら、手数料だけでも結構大きな額になります。株式を長期投資するなら、短期投資に比べて手数料は劇的に抑えられるというのは、容易に理解できるでしょう。より短期の売買になればなるほど、手数料のことを頭に入れていないと、株で利益は出たけど手数料の方が高くついたという状態になり得るのです。

(4)いきなり無一文になったりしない
短期投資は、長期投資よりも一気に稼ぐことも可能です。波に乗って、短期間で驚くほどの額を稼いだという人ももちろんいます。けれど、反対に驚くほどの短期間で高額の資金を失ったという人が多いのも事実です。頻繁に売買して、繰り返し負け続けたら、いきなり無一文になることも可能です。短期投資には夢がありますが、一説では9割の人が最終的には負けているという厳しい世界です。もしあなたが短期投資に興味があるなら、十分に勉強して最初は少額から試してみることをお勧めします。その点、長期投資なら売買機会も限られるので、いきなり無一文になることはありません。売買機会が多くなればなるほど、ハイリスク・ハイリターンになります。

(5)収益が安定化しやすい
日々短期投資で稼いでいるプロのトレーダーでも、ある日は全く稼げないどころかマイナスになることもあります。そうした日が何日かあっても月単位で、何とかトータルで利益が出るように持っていくのが上手なトレーダーです。マイナスの日があったとしても、そこでメンタルを乱されない冷静さが必要なのです。より短期の売買になればなるほど、勝ったり負けたりを繰り返します。

その点、長期投資は10年スパンで見るので短期売買と比較すれば安定化しやすいのが事実です。株価などの値動きをグラフ化したチャートというものがあります。チャートで値動きを予測する際にも、短期のチャートよりも長期のチャートの方が予想しやすいというメリットもあります。

2-2.長期投資の失敗とワナ4つ

(1)すぐには利益を得られない
長期投資のデメリットで一番に挙がるのは、やはりすぐに稼げるわけではないということでしょう。「早く楽して稼ぎたい」と考えている人には長期投資は向いていません。というか、すぐには利益を得られないということを長期投資のデメリットと捉えること自体、焦点がずれています。なぜなら、長期投資は本来、余剰資金を使って将来に備えてお金を増やす行動だからです。
例えば、使うあてのない貯金が銀行に100万円あって、そのまま預けていたとしても大手銀行なら金利は0.001%とかです。ほとんど利益なんて出ませんよね。それなら、お金をもっと利益が出るもので保有しておくことが、「お金を働かせる」ということです。それをするには、使うあてのないお金がなければなりません。

(2)失敗したときはお金と投資機会の損失が大きい
長期投資は失敗することもあります。国債などのリスクがないものもありますが、ほとんどの投資対象にはリスクが伴います。一般にリスクが高ければ高いほど、リターンも大きくなります。長期投資で失敗した場合、短期投資よりも大きな金額の損失になる可能性もありますし、何より10年以上も保有したら投資の機会損失の大きさも見逃せません。

(3)すぐにやめられないケースもある
やり方にもよりますが、何にどんなアプローチで長期投資するかによってすぐにはやめられない場合もあります。10年、20年投資することによって、長期投資のメリットが最大限活かされるわけですから、これはメリットともとることができます。なぜなら、人間の本能は長期投資には向かないようにできているからです。

人間は、より短期の利益に反応し、より長期の利益については反応しづらいというのは、ダニエル・カーネマンらの研究成果によっても明らかです。とはいえ、この先何が起きるかはわかりません。急にお金が必要になることもあるでしょうし、もっと有利な投資対象に乗り換えたいと思うこともあるでしょう。その間も資金は、半ば強制的に固定されてしまいます。もちろん、資金を自由に動かせる長期投資の方法もあります。しかし、資金を自由に動かせるものより固定されるものの方が、特にあなたが初心者である場合、長期投資で成功する可能性が高いというのも事実でしょう。

(4)運用コストが大きい
長期投資の代表的なものに、投資信託があります。一般的には投資信託は、運用コストが高くなる傾向があります。もちろん、良心的な投資信託もありますが、素人ではなかなか見抜くことは困難です。あなたが銀行で勧誘されるような投資信託では運用コストが高すぎるものが、ほとんどだと考えて間違いありません。なぜなら、営業しなければ売れないような投資信託だからです。

投資信託の運用コストには、ファンド購入時に販売会社に支払う申込手数料や毎年の信託報酬、換金時に支払うファンド繰入金など事あるごとにコストがかかります。そのコストが高ければ高いほど、利益を出すのは困難です。「国内29の銀行窓口で投信を買った客のうち、46%に上る人の運用損益がマイナスになった」という金融庁のデータさえあるほどです。

3. 長期投資の最もカンタンなやり方|オススメの銘柄とは


あなたは、前章まで読んで「長期投資ってやっぱり難しそう」「将来に多くのお金を残す可能性がある代わりに、リスクも高そう」「資金が固定されるような長期投資は怖いな」「変な投資信託に引っかかりそう」などと感じたかもしれませんね。それは事実です。けれど、最低限の知識を持って臨めば、リスクは最小化できますし、理解しているものに恐怖心を覚えることもないでしょう。

この章では、長期投資の初心者でも利益を積み上げやすい方法や考え方を具体的にお伝えします。

3-1. 個別銘柄で買うのは危険?

長期で株式投資をしようとするとき、あなたはどの銘柄に投資するかの選別が重要だと考えるでしょう。その考えは間違ってはいませんが、危険な考えでもあります。例えば、現在好調のIT企業の株を買って10年間放置すれば、長期投資となり10年後に富をもたらしてくれるでしょうか? もしかしたら、10倍になっている可能性もありますが、反対に倒産して資産ゼロになっているかもしれません。10年という年月には、不確定要素が多すぎるからです。こうなると、投資というよりはギャンブルですよね。

あなたが企業の研究を十分に行い、絶対に10年後にこのIT企業の株価は10倍以上になると考えるなら可能性はあるでしょうし止めはしません。しかし、どんなに目利きでも10年後を正確に予測することはできないのです。

では、どうすればいいのでしょう。それは一つのIT企業だけを買うのではなく、広い業種から好調な株を複数買うということです。その中には思惑が外れ株価が下がる銘柄もあるでしょうし、反対に予想以上に株価が上がる銘柄も出てきます。このように複数の株を保有して、そのトータルで利益を目指すのが、長期投資におけるリスクを下げる堅実な方法なのです。

とはいえ、複数の株を保有するには、それなりの資金力が必要ですし、企業の健全性や将来性を見抜く力も大切です。そんな時に、便利なのがインデックスファンドなどの投資信託です。インデックスファンドとは、複数の銘柄を組み合わせて日経平均株価など市場全体の動きを示す代表的な指数(インデックス)に連動した投資成果を目指す投資信託のことです。

なぜ、インデックスに連動した投資成果を目指すのかというと、腕利きの投資信託でも狙ってインデックス以上の値上がりを達成するのは困難だからです。インデックスより高いリターンを狙って運用した投資信託のほとんどが、インデックス以下のリターンになっているのが常です(もちろん例外もありますが)。これは、予想をして長期でリターンを出すのは、プロでも難しいということを表しています。

ですから、あなたが、投資信託などを使わずに、自分で複数の株を買いたいというのであれば、なるべくインデックスに連動するように株を組み合わせるのが王道的なやり方になります。

3-2.2020年に初心者に最もオススメできる長期投資の方法

上記で単数の株だけを保有していると、将来に対するリスクが大きすぎるということや、株を複数買うにしても日経平均やTOPIXなどのインデックスに、なるべく連動するように組み合わせた方が良い結果が出やすいということが、何となく理解できたのではないでしょうか。

インデックスに連動するように、運用することを得意としているのが投資信託です。とはいえ、上記で触れたように、手数料が高すぎる投資信託も多くあり、初心者の段階でこれを見抜くのは困難です。

そこで、初心者が最初に始める長期投資としてオススメしたいのは、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。あなたが初心者で将来に向けて投資でお金を増やしたいと考えているなら、今最も推奨できます。その大きな理由は以下の3つです。

1.iDeCoで運用すれば、複数の株の銘柄を長期保有するのと変わらない効果を得られる
2.政府が協力にバックアップしている制度なので税金面でかなりの優遇措置がある
3. iDeCoで運用できる投資信託は優良な投資信託のみ

次項で詳しく説明しましょう。

3-3.iDeCo(イデコ)のメリットとデメリット

iDeCoは名前こそ「個人型確定拠出年金」ですが、やっていることは長期投資と同じです。あなたがiDeCoに加入すると、毎月一定の金額を自らが選んだ金融商品で運用することになります。その運用で得た利益は、60歳以降に年金または一時金で受け取ることができます。逆にいえば、60歳までは利益を得ても受け取れません。これはデメリットのようにも見えますが、一時の価格変動に惑わされることがないというメリットにもなります。特に初心者は目先の景気動向を過剰に気にして、下手にポジションを動かして結局損をしてしまうことも多いのです。

ではiDeCoではどんな金融商品で運用するのでしょうか。主にETFで運用します。

ETF(Exchange Traded Fund)を日本語にすると。「上場投資信託」となります。つまり、上場している投資信託の一種で、株式の個別銘柄のように取引できるようにしたものです。ETFは基本的には日経平均やTOPIXなどのインデックスに連動するように運用されています。注意点としては、投資信託ですから、一般の株式の個別銘柄とは違い、保有すると毎月手数料がかかってしまうということです。つまりETFを保有していれば、投資信託で資産を運用しているのと変わらないともいえます。

投資信託には、手数料が異様に高いものも多いということを上記で説明しましたが、iDeCoで取り扱うことができるETFつまり投資信託は、国の審査を受けた投資信託のみなので、市場に出回っている投資信託とは桁違いに手数料が安く優良なものばかりなのです。だからこそ、長期投資の初心者にオススメしたいのです。

さらにiDeCoに加入すると、税制上のメリットも大きいです。これは、毎月引かれている所得税の額が大きければ大きいほどメリットがあります。また、投資での利益の約20%は税金として持っていかれますが、iDeCoに関してはこの投資での利益にかかる税金についても優遇措置があります。

iDeCoについての有利なやり方や考え方については、このブログの別記事で扱おうと考えていますが、今すぐ知りたい、始めたいという方は、「iDeCo」でググってみるといいでしょう。今、旬な制度なのでいろんなサイトで解説されています。

4.長期投資でのんびり資産運用しよう!


いかがでしたでしょうか。この記事では長期投資のメリットやデメリット、そして初心者にはぜひお勧めしたいiDeCoという長期投資の方法について解説しました。とはいえ、iDeCoに加入しても億万長者になることは困難でしょう。なぜなら、毎月運用資金として入金できる金額の上限が決まっていて、多額の運用することができないからです。

とはいえ、iDeCoを実際に始めてみることで、様々な金融商品のことや長期投資が本当はどういうものなのかということが実体験として理解できるでしょう。こうした知識を得たうえで、さらに個別にETFを購入してみたり、自分で複数の株式を組み合わせて運用してみたりするにしても、長期投資の失敗を極力避けることができるのです。ですので、長期投資の初心者の勉強のためにも、そして自らの老後のためにも、まずはiDeCoをオススメして一旦筆を置くことにします。