イデコのデメリットを再確認|元本割れ?死んだらどーなる?50代もOK?


最近は様々なメディアで色んな人が、イデコ(ideco)を勧めています。でも、これだけ皆が口を揃えて「やらないと損だ」というイデコ。かえって不安になってきませんか? たとえば、「イデコには本当に何か落とし穴はないの?」とか、「状況によっては損をしてしまうケースもあるんじゃないか」とか。

私も疑い深いので、その気持ちはよくわかりますし、だからこそ自分でも色々と調べてみました。ここでは、あなたにイデコを本当に始めてもいいのかの判断材料にしていただくために、デメリットの視点からイデコを見てみましょう。確かにあなたの状況や、やり方次第ではイデコは単なる重荷になってしまうケースもあります。ですので、この記事では思いつく限りのイデコが足かせとなりうる状況を解説します。

イデコは一度始めると、基本的にはやめることはできません。ですので、この記事で紹介するケースに自分も当てはまりそうだとか、将来似た環境になる可能性があると感じるなら、今一度イデコを始めるのかどうかを検討してみるのもいいかもしれません。

1.イデコ(iDeCo)はデメリットしかないケースを考える


ここでは、イデコとはどんなものかを再確認したうえで、イデコによってもたらされうる様々なデメリットを考えてみましょう。勢いでイデコに加入して、「こんなはずじゃなかった」とならないように、この章で解説されていることが、自分に当てはまらないか確認してみましょう。

1-1.そもそもイデコ(ideco )とは何か

イデコとは「個人型確定拠出年金」の愛称のことで、公式には「iDeCo」とアルファベットで記載されることが多いです。 2017年に始まり、2018年に制度改正を経て現在に至ります。2018年の制度改正で拠出額(毎月入金するお金)の変更がしやすくなったことで、ますます始めやすくなったといえるでしょう。

イデコの正式名称は、「個人型確定拠出年金」ですが、そもそもどういう意味なのでしょう? まず「個人型」ですから公的な強制力もなく、個人の責任のもとでやるものってことですよね。次に「確定拠出」ですが、「拠出」とは特定の目的のために金銭を出し合うという意味で使用される言葉です。そして拠出に確定という言葉が付くと、「確定した一定の金額を、特定の目的のために出し合う」って意味になります。この特定の目的は、最後の「年金」という言葉にかかります。すべてをつなぎあわせてわかりやすく言い換えると、「確定した(自分で決めた)一定の金額を(例えば毎月●●円というように)、将来もらう年金を多くするために個人で出し合う制度」ということになります。

では、イデコでは将来年金を多くもらうために、何にお金を出し合うのでしょうか? それは主に投資信託などの金融商品です。つまり、イデコを超単純に言うと「皆でお金を出し合って、投資信託に運用してもらい、将来年金を多くもらうぞ!」って制度ということになるでしょう。でも、それだけなら、あまり魅力も感じないのではないでしょうか。イデコが話題になっているのは、毎月の拠出額(投資のための掛け金)が全額所得控除となり、所得税と住民税の負担が軽減されることです。また、通常は株などの投資で儲けると、利益の約20%が税金として持っていかれるのですが、イデコなら運用で儲けを出しても、利益に税金をかけられないことも注目される理由でしょう。

1-2.主婦や主夫にはイデコのメリットはない?

投資での毎月の掛け金の額が、全額所得控除になる結果、納める所得税の額が低くなるというのが、イデコが注目されている理由の一つです。では、専業で主婦や主夫をしていて、会社からの収入がなく、税金を納める必要のない人は、イデコのメリットは享受できないのでしょうか。もちろん、メリットがないわけではありません。

たとえば、専業主婦や主夫でも、投資で得た利益に税金がかからないというメリットはあります。通常なら利益の約20%もかかる税金を払わずに済むのですから、もともと投資信託などで資産を運用しようと考えていたなら、かなりのメリットだと言えます。また、イデコを夫婦で始めることで、老後、お金に困らないための安心感を得られるのも精神的なメリットになるでしょう。しかし、こうしたイデコのメリットを得られるかどうかは、あなたの家計の状況によっても変わってきます。

主婦や主夫の方がイデコを始めようと考える場合、働いている配偶者はすでにイデコを始めているか、あるいは一緒に始めようとしているかという状況になるでしょう。そうなると2人分の拠出額は、家計にもよりますが結構大きな額になりませんか? それに2人分の手数料もかかってきます。こうした金額が気にならないくらいの収入や余剰資金があれば問題ありませんが、少し無理をしないと毎月の拠出額を捻出できないなら、本当にイデコをやるべきか今一度考えてみるのが無難です。その理由を次項で説明しましょう。

1-3.イデコがデメリットしかないケース

イデコは一度始めると途中でやめられませんし、掛け金は原則60歳以降でなくては引き出せません。あなたが30歳なら利益が出ていようが、30年後までお金は手元にはないのです。お子さんのいる家庭であれば、ライフイベントごとにお金がかかってきます。長い人生、不測の事態がないとも言えません。

もちろん、家計が苦しいときは毎月の拠出額を最低の5000円まで落としたり、最悪イデコを一時休止したりすることもできます。だったら、安心じゃないかと、あなたは思うかもしれません。でもイデコを休止できることを知って、デメリットはないと考えるのは早合点です。

なぜなら、イデコを休止しても毎月の手数料は、確実に引き落とされていくからです。こうなると、イデコのメリットは得られないのに、毎月手数料だけは支払わされるという状況になってしまいます。また、毎月の拠出額を最低まで落としたとしたら、選択する金融商品によっては手数料負けしてしまう可能性も高くなります。

たとえば、あなたに、会社員の旦那さんがいて、主婦をされているなら、今後どんな状況でどれくらいのお金が必要になるか、今一度考えてみましょう。そのうえで、二人分のイデコを毎月支払えるのかをシュミレーションしてみましょう。イデコは国のバックアップもあり、とても有利な制度ではありますが、その本質は投資なので、今の生活を犠牲にしてまでやるものではなく、あくまで余剰資金で行うものだからです。

イデコは毎月一定の額を60歳まで積み立てられれば、複利の効果も得られ有用な制度になりますが、途中で積み立てられず休止してしまうようなことになるなら、デメリットになる可能性も高いのです。

仮に旦那さんが、月額2万3000円をイデコで積み立てていて、主婦であるあなたもイデコを始める場合、旦那さんの毎月の拠出額を月額1万2000円まで落として、あなたも月額1万2000円積み立てるというならナンセンスです。なぜなら、手数料も倍かかってきますし、旦那さんが受けられていた、所得控除も減ってしまいます。それなら、元のまま旦那さんのみ、月額2万3000円をイデコで積み立てていた方が当然ながらお得です。

旦那さんが、限度いっぱいの月額2万3000円をイデコで積み立てている場合、それ以上の額をイデコで運用したいという場合だけ、主婦であるあなたもイデコを始めるメリットがあります。

2.50代以上でもイデコ大丈夫?死んだらどうなる?


イデコは長く積み立てることで、複利の効果を得られるのが魅力ですが、60歳までしか積み立てることはできません。たとえば、あなたが50代で60歳までそれほど年数がない場合、イデコを始める意味はあるのでしょうか。また、50歳以上からイデコに加入して、かえってデメリットになってしまう危険はないのでしょうか? また、何歳であっても、事故などで自分が死んでしまうことだってあるでしょう。そんなとき、イデコの取り扱いはどうなるのでしょうか。この章で考えてみましょう。

2-1.50代からイデコのデメリット|年金が受け取れない?

前章でも述べましたが、イデコ最大のメリットは、毎月の掛け金の全額が所得控除されることです。これにより、大きな節税が受けられます。たとえ、あなたが50代の会社員の場合、この効果は変わりません。つまり、イデコで掛け金を積み立てることにより、所得税や市民税が安くなるということです。特に収入が大きい人ほどイデコをやるメリットも大きいでしょう。

とはいえ、50代でイデコを始めること特有のデメリットもあります。50代でイデコを始めると、60歳まで加入期間が10年未満ということになります。実は、加入期間が10年未満だと、60歳になっても年金が受け取れず受取開始可能年齢が最大5年延びることになります。具体的には、以下のようになります。

8年以上10年未満の場合 61歳から
6年以上8年未満の場合 62歳から
4年以上6年未満の場合 63歳から
2年以上4年未満の場合 64歳から
1カ月以上2年未満の場合 65歳から

また、若い世代のように何十年もイデコに掛け金を積み立てて、複利を考えた運用で大きな利益は出しにくいというがデメリットといえるでしょう。ですので、特に収入がない50代の主婦や主夫の方がイデコをやる意味は、それほどないと私は感じます。

2-2.そもそも死んだらイデコはどうなるの?

老後の資金をイデコで、せっせと積み立てていたのに、事故や病気で自分が死んでしまうこともあるでしょう。縁起でもないですが、そのときイデコで積み立ててきたお金はどうなるのか気になりませんか?

基本的には、イデコのあなたの口座にあるお金はすべて、あなたのものです。ですので、あなたの遺族が給付の申請をすれば「死亡一時金」として、口座に入っているお金を受け取ることができます。ただし、あなたの遺族があなたの死後、5年以内に手続きをしなければ、そのお金は相続人のいない相続財産とみなされて、国に全額もっていかれます。こうなると、遺族はもう受け取ることはできません。ですので、いざというときのためにも、家族によく説明しておいたほうがいいでしょう。

3.イデコで年金が減る可能性はあるのか?元本割れは?


イデコを始める前に、もう一つ知っておいてほしいことがあります。実はイデコをやると年金が減る可能性があるのかということと、元本割れになるケースもあるということです。この章で詳しく説明していきましょう。

3-1.イデコで年金が減るというのはデマ!?

通常、会社員が入っている、厚生年金保険料の計算の基となる標準報酬月額はだいたい4月から6月の3ヵ月分の給与の平均額を算出して決定されます。ちまたでは、この厚生年金保険料がイデコに入ることにより安くなり、結果的に年金の受給額が減るのではないかという噂が流れています。これは完全にデマで、イデコに入ったところで、4月から6月の3ヵ月分の給与の平均額が減ることはありません。

では、なぜこんなデマが流れているのでしょう? それは、イデコ(個人型確定拠出年金)と企業型確定拠出年金を混同していることが原因でしょう。企業型確定拠出年金とは、退職金や給与などの一部を、イデコと同じように掛金として拠出してもらうか、これまで通り給与として受け取るか、従業員が選択することができる制度です。

イデコが個人でやるものに対し、企業型確定拠出年金はあなたの勤めている会社がこの制度を導入していないとできません。そして、この企業型確定拠出年金は給与の一部を差し引いて、毎月の拠出額にあてるので、実質給与が減るということになります。ですので、4月から6月の3ヵ月分の給与の平均額が減り、厚生年金保険料も減り、将来の年金の額を決める等級が下がることもあり得るのです。

つまり、ここで何が言いたいかというと、個人でやるイデコに入っても、将来もらえる年金の額に影響はないということです。

3-2.イデコで元本割れになるケース

イデコは本質的には投資ですから、100%安全なものではありません。どんな投資にも、必ずリスクがあるからです。イデコでは、どのような方法で資金を運用するかを、あなた自身で選べるようになっています。一般的には投資信託に運用してもらう選択しますが、運用成績がふるわなかったらどうしようと不安になりますよね。もちろん、状況によっては元本割れするリスクもあります。

こうした人が選択肢がちなのが、元本確保型の運用商品です。元本確保型は、定期預金や保険といったものです。もちろん、投資信託のように元本割れするリスクはありませんが、手数料負けしてしまう可能性が高いです。元本確保型は多くの場合、利益のわりに手数料が高いものが多いです。元本確保型でイデコをやるよりは、なるべく手数料の安い投資信託で運用するほうが、リスクはあるものの相応の利益を得られる可能性もあるのでおすすめです。

4.おわりに|イデコはどんな人がやるべきか


この記事では、あえてイデコのデメリットを中心に解説しましたがいかがでしたでしょうか。ぜひ、あなたの判断材料の一つにしていただけたらうれしいです。とはいえ、イデコは絶対やった方がいいという人もいます。それは高収入を得ていて、高い所得税を取られている人です。こうした人はイデコに加入すればかなりの節税効果が期待できるからです。

確かにイデコはその性質上「長期」「分散」「積立」という投資では最も成果が出やすい方法で運用することになるので、初心者が将来に向けてお金を貯めようとすることに適した制度であることは間違いないです。けれど、今の自分の生活を犠牲にしてまで、やることではないというのも正論だと思います。投資とは、あくまで余剰資金でやるものだからです。ですから、あなたの資産状況や日々の収入に合わせてイデコに加入するかどうかをよく検討してみることをおすすめします。

なお、この記事を読んで、それでもイデコをやりたいというあなたには、以下の記事を読むことをおすすめします。イデコは長期間やり続けるものなので、手数料などが少し違っただけでも、最終的に手にする利益が大きく違ってきます。ですから、イデコを始めるうえでどの証券会社を選ぶのかが大変重要になってくるのです。以下の記事では、どの証券会社でイデコを始めるべきか、徹底的に検証した結果を解説しています。

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