なぜ損切りしたら株価が上がるのか?損切り貧乏にならないためのコツと目安


あなたは、株の買いポジションを持っていて、「損切りした途端に株価が急上昇」という経験をしたことはないでしょうか? あるいは、FXのショートポジションに損失が出ていて耐えきれなくなって損切りしたら、暴落したという経験があるかもしれません。

実は、これは多くの初心者が経験している現象です。しかし、損切りしたら、なぜ反対方向に価格が動くのかを、正確に説明しているWEB記事を見たことがありません。そこで、この記事では、多くの初心者が抱く「なぜ損切りしたら株価が上がるのか」という疑問の本当の答えをお教えしましょう。これを読めば、あなたのトレーダーとしての知識は、2段階くらい上がるかもしれません。

1.そもそも損切りは必要か?


なぜ損切りしたら株価が上がるのかを解説する前に、そもそもなぜ損切りが必要なのかを考えてみましょう。損切りが必要な理由として、「損失がさらに広がっていく可能性があるから、損失を食い止めるために損切りが必要だ」というのが一般的な考え方です。

1-1.株で損切りしないなんてあり得ない?

損切りしないということは、いくらでも損失が広がることを許容することを意味します。例えば、現在1万円の損失が出ていて、それが5万円に広がることをあなたは許容できるでしょうか? いえ、さらに損失が広がり10万円、100万円まで損失が大きくなるかもしれません。

いずれにせよ、どこかで許容できないくらいの損失額があるはずです。そして、相場というものは常にそこまで価格が下落する可能性を秘めている場所です。だから、トレードに慣れた者から見たら、損切りしないなんてあり得ないのです。

1-2.でも、なぜか損切りしたら上がる!

損切りしないと、恐ろしいことになるってことは、よく理解できた。でも、損切りした途端、株価が上がって、「結局損切りしないほうがよかった!」と後悔するような経験、もちろん私にもあります。その結果、損切りがバカバカしくなり、コツコツ稼ぐことはできても、ドカンと負けて、株やFXの世界から退場していくというのは多くの初心者の末路です。

でも、なぜ初心者が損切りすると反対に価格が動きやすいのでしょうか? それは損切りしたら株価が上がるポイントがあり、多くの初心者は、そこに損切りの価格設定をしているからです。「損切りしたら上がるポイントなんて、本当にあるのか?」とあなたは感じたかもしれません。実は、このポイントは適正価格という概念から読み解くことができます。次章で、詳しく説明しましょう。

2.損切りしたら上がるポイントと損切り貧乏


初心者は、損切りしたら上がるポイントに損切りを設定しがちです。なぜなら、そこは多くの場合、初心者が値下がりを許容できなくなるポイントだからです。では、そのポイントとは、いったい何なのかを解説していきましょう。

2-1.株にも適性価格がある?

適正価格とは、多くの人が「この価格なら買いたい」、あるいは「この価格なら売りたい」と考える価格帯のこと。でも、常に上下動を繰り返す、株に適正価格なんてあるのでしょうか?

厳密には株に、適正価格なんてありません。でも、今現在における適正価格と仮定できる数値なら存在します。適正価格とは、より多くの人の売買が成立した場所だと言えます。なぜなら、この価格帯なら売っていい、買ってもいいと考える人が、他の価格帯よりも多かったということですから、今現在から見て、売買が多い場所が一応の適正価格だとみなすことができます。

2-2.株とコートの販売との関係

上記の説明では上手くイメージできない人も多いと思うので、簡略化して説明してみましょう。たとえば、あなたが販売店で、服を売っていたとして、あるコートに5万円の値段をつけたとします。けれど、なかなか売れないため金額を3万円に落としました。そうすると、買う人が殺到しました。こんなに買いたい人がいるなら、もう少し価格を上げてもいいのではないかと考え、4万円に価格を上げて販売してみます。そうすると4万円でも売れ行きが落ちませんでした。

ですから、しばらく4万円で販売することにしました。でも欲が出てきて、4万5千円まで価格を上げてみました。そうすると買う人が減って、店の売り上げも落ちていきます。仕方なく、4万円に価格を落とすと、また売り上げが戻ってきました。

となると、このコートの適正価格は、4万円だと言えそうです。実は株でも、コートの販売と同じことが起こっています。たとえば、ある株が一株5万円だとして、この価格で高いと多くの人が考えるなら、すぐに株価が下がってきます。3万円まで価格が下がると、買いが殺到して一瞬で株価が上がります。こうなると、だいたい一株4万円くらいの位置に株価は長くとどまるはずです。長くとどまっているということは、その価格で売買が多く成立しているということですから、そこが現在の一応の適正価格と言えます。

2-3.損切り貧乏になるポイント

株の適正価格は、コートの適正価格が生み出される過程と同じだということが理解できたでしょうか? そうなると、なぜ損切りすると株価が上がるのかを理解するのは簡単です。

つまり、多くの初心者は4万円でコートを買い、3万円で損切りの設定をするような取引をしているのです。言い換えると、多くの人が売買している場所でポジションを取り、売買が少ない場所で損切りをしているということです。4万円が適正価格のコートが3万円まで下がれば、買いが殺到してすぐに品切れになる可能性が高いでしょう。だから損切りした途端、株価が上がるのです。

そして、コートが3万円で買える価格帯は、チャートで見ると直近の安値で、すぐに切り返されている場所であることが多いです。あまり投資経験がない人だと、こういう場所に損切りを設定したくなるものです。つまり、「損切りした途端、株価が上がる」ように感じるのは、適正価格を外れた瞬間に損切りをして、その後、株価は適正価格に戻っているというだけのことなのです。

こうしたポイントで売買を繰り返せば、損切り貧乏になってしまうことは火を見るより明らかではないでしょうか。

3.株の適正価格の注意点と解説


2章の解説で、なぜ損切りしたら株価が上がるのかが、理解できたのではないでしょうか。でも株の適正価格には、コートとは違ういくつかの注意点があります。この記事では、理解しやすいように簡略化して書いてありますので、誤解のないように念のため解説しておきましょう。

3-1.株とコートの違い

株価がコート値段より複雑なのは、複数の異なる価格帯に適正価格が移動することです。この移動する過程がトレンドになります。でも、その瞬間、瞬間には、必ず一応の適正価格が生まれます。この適正価格は、株価が長く止まっている場所ですから、多くの場合レンジになっているはずです。

3-2.株の適正価格を外れると

株価が適正価格を外れると、多くの場合適正価格に戻ってきます。コートで言えば、3万円になったら、買いが殺到して4万円に戻るということです。でも、必ずそうなるわけではありません。季節が変わり、このコートにはもう価値がないと市場が判断すれば、コートは3万円でも売れなくなるかもしれません。そうすれば一気に値崩れして、コートは2万円でも買ってくれなくなる可能性もあります。

3-3.買いの殺到か値崩れか

株が適正価格を外れた位置というのは、上記で説明したように、買いが殺到するかあるいは、一気に値崩れが起こりやすい位置と言えます。言葉を変えると、急速に適正価格に戻るか、あるいは別の価格帯の適正価格を探し求めて株価が大きく動くか、いずれかが起こりやすい位置だと言えます。