FXはビボットで勝てる!ピボットの使い方や戦略と手法、計算式を徹底解説


FXを始めてしばらくすると、何だが目につく言葉ってありませんか? それまで全く意識していなかったのに、何となく気になる専門用語。私の場合、それが「ピボット(pivot)」とか「デイリーピボット」と呼ばれるものでした。

当時、ローソク足や代表的なテクニカル指標さえ知っていれば勝てると考えていた私にとって、ピボットがそれほど重要だと考えていませんでした。けれど、その考えは間違いでした。ピボットを知っているのと知らないのでは、ポジョンの取り方や利益確定の精度などが、まるで異なってきます。

そこで、この記事ではピボットの意味や使い方、実際の戦略や手法などについて解説します。かつての私のように、あなたもピボットについて正しい知識を身につけて、トレードの精度を上げていくことにつながれば、これほど嬉しいことはありません。

1.FXのピボットとは? FXの超重要テクニカル


あくまで私の感覚値ですが、日本の個人投資家の中では、ピボットはあまり重要視していない人が多いように感じられます。というか、かつての私のようにそもそも知らないというトレーダーも多数いるでしょう。けれど、海外の機関投資家やファンドなどでトレードするプロたちで、ピボットを見ていない人は、ほとんどいないと言っても過言ではありません。

なぜなら、ピボットほど容易に確認でき、値動きの目安として全ての人に同じ数値を意識させるような指標は、他にはあまりないからです。ここでは、個人投資家にこそ知ってほしい、ピボットの意味を解説します。

1-1.ピボット(pivot )とは何か?

ピボットとは、アメリカの投資法インストラクターのJ・W・ワイルダーがつくりだしたテクニカル指標で、リアクション・トレンド・システムとも言われています。ワイルダーは、RSIやパラボリックの考案者としても知られていて、日本ではRSIの方が有名かもしれません。けれど、欧米ではピボットの方が意識されやすく、乱暴な言い方をすればRSIを見るくらいなら、ピボットを見た方がトレード成績が上がるというのが私見です。

ピボットは前日の価格を基に、その日のサポートラインやレジスタンスラインを予測するという意図で作られている単純なテクニカル指標です。けれども、単純だからこそ、多くの人が利用しやすく、また目安にもされやすいということが言えるでしょう。

1-2.なぜFXでピボットが重要なのか

大口投資家と個人投資家では、トレードにおける考え方が違います。FX市場をごくごく単純化すると、一部の大口投資家が多くの利益を上げる一方、無数の初心者レベルの個人投資家がお金を巻き上げられているというのが通常の状態です。

たとえば、あなたがFXで自分のルール通りに取引して、良い成績をあげられていないなら、大口投資家とは逆のポジションを取るような、負けるべくして負ける手法を使っている可能性があります。どの手法が負けるべくして負ける手法なのかというのは、現在の相場環境によりますが、その時その時に機能するテクニカルというのは、移り変わっていると考えて間違いありません。

けれど、ピボットだけは、移り変わりが比較的少ないテクニカルだといえます。なぜ変化しづらいのか、それには以下の理由が考えられます。
(1)単純で誰が見ても同じ数値になるから
(2)日本の個人投資家のようなカモには、あまり意識されていないから
(3)ピボットは単体で使われることは少なく、サブとして使うテクニカルだから
それぞれの理由の詳しい説明は、以下に譲ることにします。

1-3.FXのピボットは日足から|時間足は意味なし

上述したようにピボットの特徴に、「単純で誰が見ても同じ数値になる」ということがあります。それは、ピボットは、基本的に日足以上で算出するということも関係しています。

つまり、30分足や4時間足などのピボットは一般的ではないし、算出してもあまり意味がないということです。日足で算出したピボットは、デイリーピボットと呼ばれその日、最も意識されるピボットです。また、週足や月足で算出するピボットも多くの人が意識しているピボットと考えて間違いありません。

2.FXはピボットで本当に勝てる?計算と使い方


前章で、ピボットについて、ざっくりと説明してみましたが、何となくピボットに興味を持てたのではないでしょうか。その感覚は、正しいと思います。ピボットは複雑な分析は必要ありませんし、その日に確認するだけで有用な判断の材料の一つとして使用できる、非常に時間効率の良いテクニカルだからです。

この章では、実際にピボットはどうやって使うのかや算出方法、そしてピボットで本当に勝てるのかということについて解説していきます。ぜひ、ピボットを正しく知って、トレードに役立ててほしいです。

2-1.ピボットの基本的な用語と使い方

ピボットの基本となる、ピボットポイント(PP)は日足であれば前日の高値と安値、そして終値の3つを使用して算出しています。計算方法は、以下で解説します。ピボットポイントの上にレジスタンスラインが3本、ピボットポイントの下にサポートラインが3本引かれます。上方のレジスタンスライン3本を下からR1、R2、R3と呼び、下方のサポートライン3本を上からS1、S2、S3と表記します。整理すると以下のようになります。

2-2.ピボットの基本的な使い方

ここでは、ピボットの一般的な使い方を解説していきましょう。

まずピボットポイント(PP)よりも現在の価格が高い場合、ロングポジション(買い)を基本に考えます。ピボットポイント(PP)から価格が上昇して、レジスタンスライン1(R1)まで到達すると、この位置が第一の抵抗となります。

レジスタンスライン1(R1)を突き抜けさらに上昇するようなら、レジスタンスライン2(R2)が次の抵抗帯で、ここまで上昇した後は、下落に向かうことが多いです。しかし、さらに上昇してレジスタンスライン3(R3)まで到達するなら、トレンドが転換していると考えます。すなわち、レジスタンスライン3(R3)まで上昇するなら、上方向への相場の勢いが相当強いということです。レジスタンスライン3(R3)を抜けたところで、上昇トレンドが発生している可能性を検討するわけです。

これを実際の取引にあてはめてみると、レジスタンスライン1(R1)で相場の勢いが弱まっているという根拠があれば、ショート(売り)から入ります。レジスタンスライン2(R2)も同様で、ここまで到達して勢いが感じられないなら、ショート(売り)ポジションを持ちます。R1やR2が抵抗となり思惑通り、価格が下落すれば、めでたく利益確定です(実際こうなることは多いです)。しかし、相場の勢いを読み違えて、レジスタンスライン3(R3)まで上昇するようなら、トレンドが生まれている可能性があるので、R1やR2で持ったショートポジションの損切りの目安にします。

2-3.ピボットの計算方法

ピボットは公開されているので、通常のトレードをするぶんには、計算式まで把握しておく必要はありません。しかし、興味ある方もいるでしょう。もし、あなたがあまり難しいことは好まないなら、次の項まで飛ばしていただいても差し支えありません。ここでは、日足を例にしてピボットの算出方法を解説します。

まず、ピボットポイント(PP)の計算方法を紹介しましょう。
ピボットポイント(PP)=前日終値+高値+安値÷3

つまり、前日の終値・安値・高値の平均値を算出しているのがピボットポイント(PP)です。すごく、単純ですよね。

次にレジスタンス1(R1)とサポート1(S1)の算出方法です。
R1=「ピボットポイント+(ピボットポイント-前日安値)」
S1=「ピボットポイント-(前日高値-ピボットポイント)」

レジスタンス2(R2)とサポートライン2(S2)の計算式は、以下になります。  
R2=「ピボットポイント+(前日高値-前日安値)」
S2=「ピボットポイント-(前日高値-前日安値)」

最後に、レジスタンス3(R3)とサポートライン3(S3)の値の算出方法です。
R3=「R1+(前日高値-前日安値)」
S3=「S1-(前日高値-前日安値)

2-4.ピボットだけでは勝てない?

ピボットはプロを中心に多くの人が目安にしているテクニカル指標ですが、これだけを使って利益を上げていけるでしょうか? 残念ながら、答えはNOです。単純にピボットのみを拠り所に取引していたら、長期的に考えると損失を出す可能性が高いです。
「じゃあ、ピボットなんて使えないじゃん」とあなたは感じたかもしれません。でも、それも間違いです。ピボットは他のテクニカル分析と組み合わせることによって、飛躍的に勝率を上げることができるからです。次章で、それを解説していきましょう。

3.ピボットを使ったFXの基本戦略と手法


ピボットの利点の一つに、あらゆるテクニカル分析と組み合わせることができるということが挙げられます。ですから、あなたに得意なテクニカル分析があるなら、それと組み合わせて使用するのがいいでしょう。ここでは一例として、移動平均線と組み合わせたピボットの基本戦略と手法について解説します。

3-1.ピボットのFXでの実践的な使い方

移動平均線は、多くの人が使用する基本的なテクニカルですが、問題点もあります。それは、何日(何本)の移動平均線を使用しているかが、人によって違うことです。人によって違うということは、多くの人が同じ移動平均線を見ていない可能性もあるということです。

つまり他の人とずれた移動平均線を使用していた場合、全く機能しないという事態も起こり得ます。ピボットは、こうしたテクニカルの読み違いを把握することにも使えますし、利益確定の目安にすることもできます。

ここでは、もっとも信頼できる移動平均線と考えられる、200日移動平均線を使用してみましょう。移動平均線の単純な使い方として、移動平均線の傾きと価格が移動平均線の上にあるか、下にあるかを見る手法があります。

200日移動平均線が下向きなら、下方への勢いが強いと見ることができます。その場合、ショート(売り)から入ることを検討します。

3-2.ピボットの基本は逆張り

ピボットには色々な使い方がありますが、基本は逆張りに使います。つまりピボットが抵抗になり価格が反転するのを期待して、ポジションを取るということです。具体的には、売りから入る場合第一抵抗帯のR1,R2で逆張りを狙っていきます。

これに移動平均線の傾きや移動平均線と価格の位置を組み合わせて、トレードすると単体のテクニカルを使用するよりも将来予測の精度が上がります。たとえば、ショートポジションの場合、移動平均線が下向きの時に、R2までローソク足が上昇した時に、反転を狙ってポジションを取るなどが考えられます。あるいは、ローソク足が移動平均線の下にあり、さらに移動平均線とR1かR2が同様の価格帯に位置しているというケースなら、さらに抵抗が強くなるでしょう。このような規律作ってトレードすれば、負けトレードを減らすことができます。

なお、上記のトレードの場合、損切り位置はR3を抜けた位置になります。

3-3.ピボットはトレンドを測る目安にもなる

上でも紹介しましたが、R3やS3までいくということは、多くの人の期待を裏切って上昇しているということです。もちろん相場環境にもよりますが、R3,S3を抜けたところで、一斉に反対ポジションの損切りが起こる可能性があります。こうなると、強いトレンドが生まれ価格が短期間で動くケースが多いです。

4.本日のピボットを調べる方法


ここでは、その日のピボットを調べる方法と、ピボットを使用するうえで意識してほしいことを紹介します。

4-1.ピボットの調べ方

ピボットは、わざわざ計算する必要はありません。あなたがトレードしているFX会社で公開しているピボットを使ってもいいですし、WEB上で公開されているピボットを見てもいいでしょう。あなたが日々トレードをしているなら、ピボットは確認して必ず意識してほしいところです。

WEB上で見られるピボットとして、フォレックス・ドットコムが公開しているピボットサイトを紹介しておきます。
フォレックス・ドットコムーピボット

4-2.FXはデイリーピボットが意識されやすい

ピボットは日足ピボット(デイリーピボット)の他、週足ピボット、月足ピボットなどがあります。それ以外のピボットは、一般的ではないので、特殊な相場でない限り、あまり意識する必要はありません。FXではデイリーピボットが、非常に意識されている感じる場面が多いです。

また、デイリーピボットと週足ピボットや月足ピボットが重なることが、時折あります。こういう時はチャンスになりやすいです。重複した抵抗帯が、相場の反転のきっかけになった例は無数にあります。