FXの経済指標の見方|重要指標の一覧や予想のしやすさ、速報の意味を解説


あなたは、経済指標がどういうものなのかや、どんな種類があるのかついて知りたいと考えて、このページを開いたのかもしれません。あるいは単に、経済指標の結果を求めているだけかもしれませんね。

けれど、たとえ結果だけを知ったとしても、その指標の数値が何を意味するのか、どう考えればいいのかということまで知っている人は案外少ないです。FXなどをしていて、雇用統計などの経済指標が発表された直後の大きな値動きに、右往左往しているといったところが多くの人の現状ではないでしょうか。

この記事では、経済指標の見方や種類、どの経済指標が為替レートにとって重要なのかについて解説します。また、なぜ経済指標が発表されると為替レートに影響を与えるのかという、根本的なことについてもお教えしましょう。この記事を読めば、今後、経済指標をより理解でき、経済指標の見え方も変わってくるかもれません。

1.経済指標とは|FXや株に与える影響は?


FXで投資行動を行おうとすれば、取引している通貨を発行している国が現在どのような状態かを知っていなければなりません。仮にそれを完全に読み切ることは難しくても、大まかな流れくらいは理解していないと、取引に不利になるということは何となく理解できるでしょう。そこで、この章では、経済指標の意味や、なぜそれがFXなどの値動きに影響しているのかについて解説します。

1-1.経済指標とは?

経済指標とは、その国の金利や景気、物価や貿易や雇用状況などを数値化したものになります。そしてFXの値動きへの影響という意味で、最も重要なのが金利です。具体的に言うと、あなたが売買しようとしている通貨を発行している国の政策金利のことです。なぜそう言えるのかということを、以下で説明していきましょう。

1-2.経済指標の過去|金利が及ぼす為替への影響

貿易や物価そして景気や雇用状況は、もちろんその国を知るうえで大切です。しかし、どの指標であっても、その結果を受けて政策金利が今後どう動くのかという視点で、為替レートは動きます。

実際に、過去の政策金利と為替の値動きの関係性を見てみるといいでしょう。政策金利が上がれば、その通貨の価値が上がるというのが基本的な流れになります。

例えば、ドルの為替レートにおいて最も注目される経済指標の一つに雇用があります。例えば、米国の雇用状況を数値化した雇用統計が発表されると、FXでも大きく値が動きます。

米国は世界中の経済にインパクトを与える存在ですから、米国の雇用統計の結果を受けて、ドルだけでなく、ユーロやポンド、そして円なども大きく値動きします。ではなぜ、雇用統計が発表されると為替レートに大きな影響を与えるのでしょうか。その鍵を握るのが、先ほども紹介した金利です。

金利のことを説明する前に、米国のFRB(連邦準備制度理事会)について紹介しておかなければならないでしょう。多くの国では、政策金利を決めるのに、物価を指標としています。米国でも物価を指標にしていることには変わりはないのですが、米国の政策金利を決めているFRBでは、自国の景気を見る上で雇用状況を物価と同様に重要視しているのです。これは、連邦準備改正法で、物価と雇用の2本柱を重視するように定められているからです。

1-3.日本は物価で米国は物価と雇用で経済指標を見る

日本でも、日銀が物価上昇という目標のために政策金利をゼロに抑えていますよね。日本では、物価を最重要課題と捉えています。物価を安定させることは、持続的な経済成長のために必要な要素だと言われているためです。例えば物価が下がれば、企業収益は減少し、その結果、賃金も下がり、さらに経済全体を縮小させていきます。

これが米国では、物価だけではなく雇用状況も重視して政策金利が決められることになっています。ちなみに、政策金利を決める主要な中央銀行において、雇用を重要視しているのは米国だけです。

どれだけの人が雇用されているかは、個人消費を上下させ物価に影響を与えます。上記のような視点から、雇用統計の結果によって、政策金利が変動する可能性から、大きく為替の値が動いているというのが正しい見方といえます。

2.為替レートに影響する重要度の高い経済指標一覧と見方


1章で為替レートに対する経済指標の正しい見方を紹介しましたが、この章では重要度の高い経済指標の一覧と、それぞれの経済指標の持つ意味について解説します。経済指標は、基本的に事前の市場予想と結果が食い違うことにより、大きく値動きします。

そして注目されている経済指標であればあるほど、その変動幅は大きくなり、今後の相場の流れを決めてしまうこともあります。以下では、注目されている順に経済指標を挙げていきます。

もちろん経済指標にはここに挙げたもの以外にもありますが、全て覚えるのは大変ですし、為替レートにあまり影響しないものもあります。ですから、最低限覚えておく必要のある重要なものに絞って紹介しましょう。

2-1.雇用統計とは|FXでは最も注目される指標

雇用統計とは、米国の雇用の状態を数値化したもので、景気を探るうえで最重要指標と考えられています。基本的には、毎月第1金曜日に米国の労働省が発表します。

雇用統計が特に注目される理由の一つに、その月の比較的初期に発表される重要指標だということが挙げられます。前月の指標などの結果を織り込み、新しい月が始まった際に発表される重要指標であることから、その月の相場の流れを作ってしまうことも多いです。

雇用統計は複数の指標から構成されていますが、その中でも注目されているのは「非農業部門雇用者数」と「失業率」です。「非農業部門雇用者数」は、農業以外の仕事に就いている人がどれだけいるかを表しています。この数値が15万人以上なら景気が良いと捉え、15万人以下なら景気が下向いていると捉えられます。

「失業率」は、どれだけ仕事を探しているかを示す数値です。注意しなければならないのは、不景気で仕事探しを諦めた人はここには含まれないということです。稀に失業率と景気がリンクしないことがあるのですが、それはこうした理由からです。

また、失業率は景気の実態を半年ほど遅れて反映するといわれています。例えば、企業は業績が悪くなってから、雇用を控え始めます。この雇用を控え始めるまでのタイムラグが、およそ半年とみられているということです。

ですから、失業率は金利政策を占ううえで最も重要な数値ではあるのですが、半年ほど遅れているということで「非農業部門雇用者数」ほど現在の経済状況を指し示しているわけではないということは言えるでしょう。

2-2.個人消費支出(PCE)デフレーターは物価の動向を表す

FRB(連邦準備制度理事会)が物価の状況を把握するために、重要視しているのが個人消費支出(PCE)デフレーターです。物価の状況を測る指標は他にもありますが、PCEデフレーターが最も正確に物価の動向を表していると考えられています。

FRBはPCEデフレーターの上昇率が、前年に比べて2%以上になるよう金融政策を調整していると言われています。FRBの動向を予測しやすい指標であるものの、現在の景気の状況よりも少し遅れて反応するということも考え合わせて判断することが大切です。

2-3.GDP(国内総生産)がFXに与える影響は?

GDPとは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことを指します。簡単に言えば、その国が1年間にどれだけ儲けたかを指し示す数値です。

計算方法は、
民需+政府支出+貿易収支
となりますが、GDPの7割は民需が決めるとされています。民需とは、個人が消費したお金と企業が投資したお金の総額のことです。わかりやすく言えば民間でどれだけお金が使われたということですね。

なぜ民間でお金が使われることが、GDPの上昇につながるのかと不思議に思うかもしれません。けれど答えはカンタンです。お金が使われるということは、何らかの付加価値とお金を交換しているということです。つまり民間でお金が使われれば使われるほど、お金と交換したくなるような付加価値が生み出されていると考えることができるのです。

その国の景気を測る上でGDPは重要な指標ではあるのですが、為替レートへの影響という意味では重要度は下がるかもしれません。なぜなら、事前予測がしやすくサプライズが少ないからです。
前述したように、指標発表は事前予想との食い違いが大きいほど、市場に影響を与えます。GDPはこのような食い違いが起こりづらいのです。

2-4.ISM製造業指数で全体の景気を見る

ISM(Institute for Supply Management)製造業景況感指数とは、製造業の景気の良し悪しを示す先行指標のことです。製造業を営む企業300社以上にアンケートを実施し、その結果から景況感を算出しています。

製造業は全体の景気を測る上で代表的な業種だと言えます。そしてISM製造業景況感指数は、比較的精度が高いとされ、景気の転換をいち早く捉えやすいことから注目されています。見方としては、50以上なら景気が拡大していると捉え、50以下なら景気が縮小していると捉えられています。

2-5.鉱工業生産は多くの主要製品を含む

鉱工業生産とは、鉱工業製品を作っている企業の生産の状況などを、調査し毎月公表している指標です。鉱工業製品とは、電気機器や精密機械、輸送用機器など繊維製品など非常に多くの製品が含まれています。このことからも、景気を見るうえで重要度は高いと言えます。

とはいえ、毎月、ISM製造業景況感指数の方が先に発表されることから、事前予測がしやすくISM製造業景況感指数ほどのサプライズは起こりにくい指標です。

3.最速で経済指標の速報を知る方法


経済指標の結果を誰よりも早く手に入れることができれば、大勝ちできるのではないかと初心者であれば誰でも一度は考えるでしょう。確かに論理的には、誰よりも早く速報を手に入れてポジションを取ることができれば、確実に儲けられるということになるのかもしれません。

しかし、考えてみればすぐにわかります。最速で経済指標の結果を知る方法を見つけたとしても、決して独り占めはできません。その同じシステムを世界中の人が見ていることになるでしょう。その中で誰よりも早くポジションを取ることなんて、果たしてできるでしょうか? 回線速度やFXの取引業者のシステムのスピードも関係してきますよね。

ですから、速報を誰より早く知ったからといって、FXで儲けることには繋がらないのです。実際にディーラーなどでは有料サービスを使って、いち早く経済指標の結果を得ていますが、そのいち早く知ったという優位性を根拠に、ポジションを取ることはしないでしょう。もしそういうディーラーがいるなら、とっくにクビになっていると思います。

例えば、経済指標の結果を誰よりも早く知るのではなく、経済指標前に結果を知ることができれば確実に儲けることは可能です。それなら誰よりも早くポジションを取れるということになるからです。しかし、もしそれが可能であってもインサイダー取引になり違法となります。

4.おわりに|FXで経済指標発表前の取引を避ける本当の意味


3章で紹介したように、経済指標の速報を手に入れたからといってFXで儲けられるわけではありませんし、アプリを使ってもその結果は変わることはありません。ですから、特に中・短期でFXを取引するならば、重要な指標の前はポジションを取らないことです。

なぜなら、FXで最も大切なことは大きな損失を防ぐことだからです。重要な指標では思いのほか大きく値が動き、さらに今後の相場の長期的な流れをも生み出し得るものです。そんな中、意図した方向と逆方向に値が動き続けたら、FXで最もやってはいけない大損をしてしまうことになるのです。

経済指標の結果は、基本的には誰にも正確に当てることなどできません。ですから、重要指標前にポジションを取るということは、丁半博打をするのと同じことになってしまいます。ですから、経済指標前後は、静観し今後の大きな流れをつかめた時に、ようやくポジションを取るのが失敗しないFXの方法と言えるでしょう。