ダウ平均株価とは?FXや日経平均との関係や時間や予想をわかりやすく解説


「ダウ」ってニュースなどでよく聞く言葉ですが、改めて考えてみると厳密な意味を知らない人が多いのではないでしょうか。ダウとは、一言で言えばアメリカの株式指標のことで、世界中の市場が影響を受けています。たとえば、FXや日本の株式市場にも、ダウの値動きは少なからずインパクトを与えます。

この記事では、世界の金融市場に大きな影響を与えるダウについて、投資家やトレーダーが知っておくべき知識を解説します。知らないうちに、あなたが参加している市場に影響を与えるダウについて詳しく知ることで、危機を避けて精度の高い取引を行う一助になれば著者としては存外の喜びです。

1.ダウとは?意味をわかりやすく教えます


一般的にダウと呼ぶときは、NYダウ(ニューヨークダウ)のことを指しています。NYダウの正式な名称は、ダウ・ジョーンズ工業株価平均で、ダウ平均などとも呼ばれます。英語での一般的な表記は、「Dow-Jones average」となります。

では、ダウ・ジョーンズ工業株価平均とは一体何なのか? なぜ世界中の金融市場に、影響を与えているのか。この章を読めば、それが理解できるでしょう。

1-1.NYダウとは何か?

NYダウ、すなわちダウ・ジョーンズ工業株価平均とは、簡単に言えばダウ・ジョーンズという会社がアメリカの代表的な株式の平均を独自の手法で算出し、日々公表している株価指標のこと。ダウ・ジョーンズは、著名な日刊経済紙であるウォールストリート・ジャーナルの発行元です。

この株価指標が特徴的なのは、業種別にアメリカで調子のいい企業の株のみを30社選び、その平均を算出しているということです。調子のいい企業30社の株価で算出しているのですから、NYダウ基本的には上昇します。ですから、一見米国全体の景気を表しているように見えて、実質は業績の悪い企業は除かれた、アメリカでも選りすぐりのエリート企業の株価の平均だと考えてもいいでしょう。日本の日経平均株価も、このNYダウの考え方に基づいて株を選出して、日々数値を出しています。ただし日経平均株価の場合は、225銘柄の平均値です。

1-2.ダウは入れ替えられる

NYダウはアメリカでも、選りすぐりの優良株の平均値だと上記で説明しました。しかも、選ばれる優良株は一定期間で入れ替わっています。つまり、NYダウの30社に入っていた企業でも、業績が悪くなるなどすると、外されて別のもっと業績の良い優良株に入れ替えられます。ここまで手厚く保護されると、もはや上昇が約束されたようなものですよね。事実、NYダウは2000年に10787ドルでしたが、2019年には28051ドルにもなっています。

1-3.世界で最も注目されるダウ

優良株ばかりを集め、しかも業績が悪ければ入れ替えられるNYダウが、アメリカの経済を正確に反映していると、あなたは思わないでしょう。しかし、NYダウが世界の経済を牽引しているのは確かなことです。すなわち、NYダウが上昇すれば、世界中の市場が反応し、一般的には経済が活性化します。なぜなら、多くの人がNYダウこそが、アメリカ経済の実態と考えているからです。

逆にアメリカ経済の実態と考られている、世界から注目されている指標だからこそ、最も調子の良い銘柄で構成しているとも考えられます。アメリカ経済が冷え込めば、世界中に悪影響を与えるのは火を見るよりも明らかなことです。仮に、優良銘柄ばかりで構成されたNYダウが下落するときは、本気でアメリカの経済が悪いときだと多くの人は考えるでしょう。

1-4.NYダウの時間

NYダウは30の米国株の平均なので、厳密には取引時間という概念はありません。けれど、NYダウを構成している個別の株は、ニューヨーク証券取引所の取引時間に動いているので、これがNYダウの取引時間と捉えることもできるでしょう。

ニューヨーク証券取引所の取引時間は、祝祭日を除いた月曜日~金曜日の米国時間9:30~16:00です。日本時間でいえば23:30~翌日6:00(サマータイム時は、22:30~翌日5:00)になります。

2.ダウとFXや日経平均株価との関係


あなたは、直接NYダウを取引したいのではなくて、FXや日本株を扱っていて、NYダウの動きに関心を持っているのかもしれませんね。そこで、この章では、NYダウとFXや日経平均、日本の株式相場との関連性について解説していきます。

2-1.ダウとFXの関係

NYダウとFXのドル円には、確実に相関性があります。例えばNYダウが上がると、多くの場合ドル円も上昇します。上げ幅などは、同じ比率だとは言えませんが、チャートを見ると底と天井などの形状は同じになるケースが多いです。

では、ドル円とNYダウは、どちらが相場の流れを決めていると思いますか?

一般的には取引額が多い市場が、他の市場の相場の流れを決めます。NYダウを構成しているアメリカ市場は、世界でもトップの取引額を誇りますから、ドル円の取引額を、はるかにしのぎます。ですから、相場の流れを決めているのはNYダウと言えるでしょう。このことから、FXを取引する際にも、NYダウの動きに注視する必要があります。

2-2.ダウと日経平均や日本株との関係

「米国がくしゃみをすると、日本は風邪を引く」という言葉は有名ですが、それだけ日本の市場は、アメリカに依存していると言えます。ですから、当然アメリカ市場を代表するNYダウと、日本の市場を代表する日経平均には相関性があります。そして、日本の個別株は、日経平均に影響を受けますから、日本のすべての株式市場が、NYダウの影響下にあると言っても過言ではないでしょう。

そして、日本市場はNYダウの上昇よりも、下落により影響を受ける傾向があります。それはチャートなどを見比べると、よくわかります。日経平均とNYダウのチャート形状は、似た形になりやすいです。けれど、決定的に違うところは、上昇時の山の高さです。例えば、NYダウが上昇して、高い山を作っても、日経平均は小高い丘しか作れません。これが、NYダウと日経平均の上昇率の決定的な違いをもたらしています。

3.ダウとs&p500、そしてナスダック


アメリカの景気を測る目安として、NYダウの他にもs&p500という指標があります。s&p500は、構成銘柄が30しかないNYダウに対して、500もの銘柄を時価総額で加重平均し指数化したもので、NYダウよりも正確に、アメリカの景気を反映している指標だといわれています。

他にも経済番組などで頻出する言葉として、ナスダックが挙げられます。ナスダック市場の平均値は、ナスダック総合指数で表されます。これは、ナスダックに上場している全ての銘柄を、時価総額加重平均で算出した数値です。

ナスダックやs&p500について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

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