FXの歴史|日本の黎明期当時や法改正、レバレッジ規制と暴落の歴史


そもそも、FXはどんな歴史を経て始まったのでしょうか。また、だれがFXのサービスを始めたのでしょうか。そして、黎明期のFXはどんな感じだったのでしょうか。

この記事では、FXの歴史を紐解いていきます。日本のFXの歴史はたかだか20年くらいですが、法改正など、様々な紆余曲折を経て、現在に至ります。

FXがどのような変遷を経て、今のような形になっているのか、その歴史を知ることで、普段何気なく行っている取引一つひとつに重みを感じるでしょう。そして、事実を知ることで、トレードにも良い影響がでることを願ってやみません。


 

1.日本のFXの黎明期当時の状況


この章では、まず「FXが始まる前はどんな状況だったのか」、そして「どんな理由でFXが開始されたのか」を解説します。また、開始された直後はどんな感じだったかなどについても紹介していきます。

1-1.FXは昔は固定相場制で存在そのものがなかった

そもそもFXで扱っている為替レートとは、何でしょうか? それは、国家間の異なる通貨を交換するための比率のことです。たとえば、貿易などで商品を買うにしても、日本の円が海外のお金に対してどれくらいの価値を持っているのかが決まっていなければ、幾ら払えばいいのかわかりませんよね。

この海外に対してのお金の価値を決める方法が2つあります。ひとつは、円はドルに対して●●円、ユーロに対しては●●円と決めてしまうやり方です。これを固定相場制といいます。

もうひとつは、市場の需給バランスによって為替レートを決めるやり方です。これを変動為替相場制といいます。FXも変動為替相場制だから成り立っているものです。

1973年までドルを基軸通貨とする固定相場制が敷かれていました。ですから、FXやそれに類似したものも当然ありませんでした。当初は1ドル360円で固定されていましたが、1971年のスミソニアン協定で1ドル308円と 約16%もの切り上げ(円高)が行われました。これは、ごく簡単に言えばアメリカの経済状況が良くなかったためで、その流れでドルの価値を維持できず変動相場制に変わっていくことになりました。変動相場制が導入されて約半年間で、308円から260円台まで大幅に下落したと記録されています。

1-2.FXの誕生!海外のFXの仕組みを日本でも

変動相場制に変わったとはいえ、一般の人が為替レートに関する取引をすることは長らくありませんでした。日本では一部の金融機関のみが為替取引ができたということに過ぎません。また、個人であれば外国のブローカーを通してなど、特殊な方法を用いなければ取引することはできませんでした。

しかし、1998年4月に外為法(外国為替及び外国貿易法)が改正され、法的に一般企業や個人でも為替取引ができるようになったのです。これに乗じて、香港やシンガポールなどで行われていたFXを、日本で初めてダイワフテーチャーズ(現:ひまわり証券)の尾関高(おざきたかし)氏が中心になって立ち上げました。しかし、当時、その普及はゆるやかなものだったといいます。

FXが一般の人にも認知されたのは、2000年頃からのインターネットの普及によるものです。まさにインターネット環境が一般の人に行きわたるにつれてFXブームが起き、取引をする人も爆発的に増えていったのです。

FXを取り扱う業者もどんどん増えていきました。しかし、取引するためのルールが業者によって違い、取り締まりなどもゆるやかだったため、法外なスプレッドを設定したり、スリッページを意図的に操作したりなど、詐欺まがいな行為も横行していました。

スリッページについては、以下の記事をお読みください。

スリッページとは|意味や設定値、損をしないための対策とポイントを解説

2.FXのスプレッドや税金の歴史


この章では、詐欺まがいな行為も横行するFX業界をどうやって清浄化していったのかを解説しましょう。もしかしたら、仮想通貨なども同じ変遷をたどることになるかもしれません。また、FXのスプレッドや税金がどのように変わってきたのかも説明します。

2-1.登録や信託保全の義務でFX健全化

日本でのFX開始当初は、様々な業者がFX取引業者として、こぞって開業しました。もちろん優良なFX会社もありましたが、上記で触れたような故意のスリッページや高スプレッドなど、詐欺に近いようなことをするFX会社もありました。急激に広まっていくFXに、法律も対応できていなかったのでしょう。

そこで、2005年に金融先物取引法が改正され、すべてのFXの取引業者の登録が義務付けられました。つまり、金融庁に認めらない悪徳な会社は、商売ができなくなったということです。

さらに、2009年に信託保全が義務化されました。これは、FX会社が顧客から預かったお金を信託銀行に管理してもらうことで、FX会社が倒産しても、一定の範囲内でお金が顧客に戻される仕組みのことです。ちなみに、話題になったビットコインなどの仮想通貨の取引業者には、この信託保全の義務はありません。

2-2. FXスプレッドの歴史

かつては、ドル・円のスプレッドを5~10銭程度に設定している業者が多くありました。スプレッドとは簡単に言えば、見えない手数料のようなものです。

しかし、2011年にFX業者間でスプレッド競争が始まります。スプレッドの狭さを売りにして、各FX会社が顧客を集めようと競いあい始めたのです。それが加速して、現在ではスプレッドを0.3銭程度に設定している業者も多くあります。当初の5~10銭のスプレッドを考えると、めちゃくちゃスプレッドが狭くなったということがよくわかります。

2-3.FX税金の歴史

FXの税金の形態も開始時から変遷してきました。

まず、1998年当初の税金は、FXで設けたお金は総合課税の対象となっていました。総合課税とは、他の所得と合算して税金を計算する方法です。

2005年に公的なFXの取引所「くりっく365」が登場して、申告分離課税が適用されました。申告分離課税とは、他の所得とは分離して税金を計算する方法です。申告分離課税のメリットは、総合課税よりも税率が低くくなるケースが多いということと、過去の損失と現在の利益を相殺できる損益通算ができるということです。

2012年に、くりっく365以外のFX会社での取引にも、申告分離課税が適用されることになりました。

3.FXレバレッジ規制の歴史と法改正


レバレッジとは、自分がFX会社に預けている資金の何倍もの取引を可能にする仕組みのことです。上手くレバレッジを使えば大きな儲けになる反面、失敗すれば莫大な損失につながります。

FXの黎明期には、なんと400倍ものレバレッジをかけることができました。つまり、100万円の資金に最大までレバレッジをかければ、4億ものお金を動かすことができたのです。

多くの人がFXに夢を見て、高いレバレッジで取引をしました。そして、多くの破産者を生み出しました。これはまずいと、国も動き出します。そして、2010年からレバレッジを最大50倍に規制する法改正を行うことになったのです。さらに、翌年の2011年にはFXのレバレッジが、最大25倍まで引き下げられました。

レバレッジが25倍になったとはいえ、株式取引などに比べると相当大きなレバレッジにあることには変わりないでしょう。くれぐれも、欲に目がくらんで、ハイレバレッジでギャンブル的な取引をしないようにしてほしいものです。

これまでレバレッジ規制が進んできたのは、なにも国があなたに儲けさせまいとして意地悪しているわけではありません。儲ける者以上に、破産者が続出してしまうから、規制に至ったというのが本当のところでしょう。高いレバレッジは、それだけ危険なものであることも覚えておいてほしいのです。

4.FX歴史的値動きと暴落の歴史


ここでは、FXの歴史的な値動きを紐解いてみましょう。固定相場制の1ドル360円のときから見れば、暴落の歴史であったといっても過言ではないでしょう。ちなみに、FXが始まった1998年当初のドル・円のレートは1ドル130円程度でした。

2008年10月 リーマンショック
この年のドル円の年間での高値は110.487円、安値は87.886円でした。8月に年初来高値を付けてからの下落でしたから、ますます市場を混乱に陥れることになりました。

2010年5月 フラッシュ・クラッシュ
ダウ平均株価が数分の間に1000ドル近く下落し、為替も大きな影響を受けた。この年のドル円の年間での高値は94.71円、安値は80.474。当日、ドル・円は94円から88円と、一夜にして約8円下落。

2011年3月 東日本大震災
地震前日は、1ドル82.97円だったが、その1週間後の3月17日には、1ドル76.24円まで円高が進んだ。ドル・円の年間で見た高値は85.303、安値が75.718円。

2012年12月~ アベノミクス
自民党が民主党から政権を奪還し、アベノミクスによる日銀大規模量的緩和策などが施され、数年にわたり1ドル70円台から120円台まで急速な円安が進みました。

5.歴史を振り返ったうえで改めてFXを見ると


そもそもお金とは金本位制といって、等価の金(ゴールド)と交換できるものでした。それによってお金の価値を保証していたのです。日本でも1942年までお札と金を交換することができていたのです。アメリカでは、1971年にニクソン大統領により、金本位制が廃止されました。

ですから、現在のお金にどれくらいの価値があるのかは、本当は決まっていないのです。FXの歴史を見てみると、それがよくわかります。

つまり、価値がわからないものを私たちは取引しているのです。だからこそ、4章で紹介したように、一夜にして価値が変動してしまうことも十分あり得るということは理解していただけたのではないでしょうか。そして、損切りやそれに相当するものを用意して取引きするということは、最低限の命綱だということも理解できるのではないでしょうか。

なお、損切りについては以下の記事が詳しいです。正しい損切の方法を身につけてから、投資に挑んでください。必ず読んでおいてよかったと思える日がくると思います。

損切りとは?本当の意味や株・FXでの目安やタイミング、ルール設定を解説