テクニカル分析の種類と特徴|本当は無意味?おすすめの指標・やり方を解説


テクニカル分析とは、株やFXなどの相場において、過去の価格変動や出来高などのパターンから、将来価格や値動きなどを分析・予想することです。この記事では、テクニカル分析を使ううえでの考え方や、ファンダメンタル分析との違い、メリットやデメリットなどについて解説します。

また、テクニカル分析にはどんな種類があるかも説明していきます。あなたにおすすめのテクニカル分析ついて、その考え方や、分析を学ぶうえで助けになる本なども紹介。株やFXなどを取引している人、あるいはこれから取引したいと考えている人にとって、有益な情報を提供しますので、ぜひリラックスして最後まで読んでみてください。

1.テクニカル分析|FXや株で使える基礎講座


この章では、テクニカル分析の意味や、メリットやデメリットについて解説します。また、テクニカル分析はどのように使うのかや、テクニカル分析が無意味だという意見に対しても私見を述べてみましょう。

1-1.テクニカル分析とは?ファンダメンタル分析との違い

テクニカル分析とは、はじめにもご紹介したように、相場の将来の値動きを、過去の価格変動などのパターンから読み解く分析手法のことです。株やFXになじみのない方だと、この説明ではよくわからないかもしれませんね。ここでは、株式相場を例に挙げてかんたんに説明してみましょう。

たとえば、株を買う時に何を基準にするでしょうか? 一般的には、その企業の業績とか将来性ですよね。こうした業績や将来性を分析することをファンダメンタル分析といいます。業績が良くて、将来性がある会社の株は、当然上昇することが多いです。でも、必ず上昇するわけではないですよね。

業績がよくて将来性がある株でも、短期的には大きく価格が下がることはよくあることです。テクニカル分析は、どちらかといえば、こうした短期的な値動きを読むのに力を発揮します(もちろん長期的な投資にも使えますが)。言葉を変えるならファンダメンタル分析は比較的長期の投資で儲けることに、テクニカル分析は比較的短期の投機で儲けることに、より適していると言えるでしょう。

1-2.テクニカル分析のメリット・デメリット

テクニカル分析のメリットは、売り買いの判断が視覚的にわかりやすくなることです。つまり、売買の判断がしやすくなるということですね。このことについては、後の章で詳しく解説していきます。

テクニカル分析のデメリットは、その分析が機能しないこともある、ということに尽きるでしょう。テクニカル分析は、その時の地合いによっては、全く逆のサインを出すこともあります。バランスが取れた相場環境で最も機能します。

たとえば、その相場に参加している全員が、同じテクニカル分析を使っていたらどうなると思いますか? そうなると、たちまちその特定のテクニカル分析は、機能しなくなるでしょう。なぜなら、全員が同じテクニカル分析を使っている状況というのは、ごく簡単な言葉でいえば、普通の相場環境ではないからです。普通の相場環境ではないところでは、テクニカル分析は機能しないというイメージや視点を持っていれば、あなたが使いたいテクニカル分析が今の相場の状況にあっているのか、そうでないかがわかってくるでしょう。

また、そのテクニカル分析をあなた以外誰も使っていないという状況であれば、さらにテクニカル分析は機能しなくなるでしょう。あくまでバランスよくそのテクニカル分析が使われ、反対売買をしてくれる人も適当数いるという状況が理想的な状況だといえます。

1-3.テクニカル分析のやり方・使い方

株やFXなどの価格は、時間の動きとともに、そのものの価値や人間の心理で動いていきます。そのものの価値というのは、株で言えば、企業の価値です。本来は、企業そのものの価値で、株価は動くはずですが、それだけが株価を動かしているわけではありません。

先ほども書いたように、人間の心理も株価を動かす要素です。人間の心理というのは、例えば、株価が大きく上がっている時に、「自分も乗り遅れまい」として買い急いだり、反対に株価が大きく下落した際には、「このままでは大損してしまう」と安値で売り払ったりする、市場参加者の心の動きのことです。

このように、そのものの価値と、人間の心理(大衆心理といった方がわかりやすいかもしれませんね)が、織りなして価格は動いていきます。そして、特に短期売買においては、そのものの価値よりも大衆心理に、より大きな影響を受けやすいと言えます。大衆心理には、ある程度法則性があります。その法則性を使って、取引の目安にするのがテクニカル分析と考えるとわかりやすいでしょう。

1-4.テクニカル分析は本当は迷信?無意味?

テクニカル分析は、迷信のようなもので無意味だという意見もあります。私はこれに賛成もしませんが、特に否定もしません。ある時は、機能しているように市場は振る舞いますし、またある時は、全く機能していないかのように市場は振る舞うからです。

1-2で書いたように、普通の相場環境でないところで使えば、迷信のようなものに見えますし、そのテクニカル分析にとって理想的な相場環境であれば、それは決して無意味ではない有意性あるものに見えるでしょう。そして、理想的相場環境かどうかは、いつの時点でも変化しうるものです。それを見極めるのが相場感であり、失敗した時に取り返しのつかないような事態を防ぐのが資金管理です。

2.テクニカル分析の種類やおすすめの使い方

この章では、テクニカル分析の種類について解説します。そして、テクニカル分析の本質は何なのかを説明したうえで、おすすめの使い方や考え方についてもお教えしましょう。

2-1.テクニカル分析の種類を体系的に解説


テクニカル分析を大きく分類すると主に以下の3つに分けられます。
(1)オシレーター系
オシレータ系はテクニカル分析の中でも、特に人気があります。主に、現在の価格が高い(買われ過ぎ)なのか、あるいは安い(売られ過ぎ)なのかを分析します。逆張りすること(価格の反転を狙う)が主な使い方です。他にも、「そろそろ買われ過ぎだから売ろう」といったふうに利益確定の目安にも使用します。
オシレーター系で代表的なテクニカルとして以下が挙げられます。

・ストキャスティクス
・RSI
・RCI
・MACD
・DMI
・CCI

(2)トレンド系
相場の値動きが一方行に傾くことを、トレンドと呼びます。わかりやすい例を挙げるとバブル期やアベノミクスの初期のころの株価は、中長期で見ればほとんど値を崩すことなく、上昇し続けました。これがトレンドです。
トレンド系は、このようなトレンドを捉えて、その波に乗るための分析手法です。つまり、現在本当にトレンドが出ているのかを計測するために、トレンド系の指標があるといえるでしょう。上記で紹介したオシレータ系は、主に逆張りに使われますが、トレンド系は順張り(相場の方向に沿って場合すること)に使用されます。欧米などでは、逆張りよりも順張りの方が盛んですから、トレンド系の手法は欧米において逆張りよりも頻繁に使われている印象です。
トレンド系のテクニカルの代表格として以下の指標が挙げられます。

・移動平均線
・ボリンジャーバンド
・ポイント・アンド・フィギア
・パラポリック
・ボラティリティシステム
・ペンタゴンチャート
・一目均衡表

(3)非時系列系
これまで紹介した、テクニカル指標は時間という要素を重視しています。それは、当然といえば当然でしょう。株やFX等の値動きは、時間経過とともに変化するのですから、時間と価格を主体に分析するのが妥当といえるのです。しかし、この時間というものを排除して、純粋に価格の動きのみに注目することで、これまで見えなかったパターンが見えてくることもあります。それが非時系列のテクニカル指標です。
非時系列系のテクニカル指標には、以下のものが挙げられます。

・ポイント&フィギュア
・カギ足
・新値足
・逆ウォッチ曲線
・時系列練行足(RAI)
・戻り値推定チャート

(4)時系列特化系
非時系列系は、価格動きのみに着目した分析手法ですが、反対に、時間に着目したテクニカル指標が時系列特化系です。もちろん上がるか下がるかの概念はありますが、いつ上がるのか、いつ下がるのかを分析することに重点を置いています。時系列特化系としては、以下が挙げられます。

・サイクル分析(日柄分析)

2-2.テクニカル分析は単なるツールで基本は素のチャート

テクニカル分析の基本は、ローソク足などのチャートです。チャートとは、価格を時系列に記録したものと考えるとわかりやすいでしょう。そして、ローソク足のチャートだけを見ていても、そこにパターンや法則性を見出すことは可能です。

しかし、チャートは万人が同じように見ているわけではありません。イメージしにくいかもしれませんが、人によって見え方が違うのです。例えば、同じ図形を見ていても、ある人には正円に見えるかもしれないし、ある人には楕円に見えるかもしれない。こうしたことが、チャートでも起こっているのです。

そして、こうした歪みをできるだけ排除して、チャートを見やすくしたものが、前項で紹介したテクニカル指標です。ですから、あなたがテクニカル分析を使うにしろ、その根本には、まずローソク足などの素のチャートがあることは意識しておくといいでしょう。あくまで、素のチャートのある一面を、強調したり単純化して見やすくしたのがテクニカル分析です。ですから、その強調や単純化が、現在の相場環境にあっていなければ、あなたの望む結果とは、全く反対の結果を招くこともあるということです。

3.テクニカル分析を学ぶ上でおすすめの本


このブログの他の記事でも紹介しましたが、テクニカル分析を学ぶうえで、個人的に役に立ったは、何と言っても|J・D・シュワッガー の書いた、『シュワッガーのテクニカル分析』でしょう。
テクニカル分析とは何か? 何を基準に、どうテクニカル分析を使っていくべきなのか。と言うことが語られています。

なお、書籍で相場を学びたいという方には、以下の記事がおすすめです。『シュワッガーのテクニカル分析』を含め、FXなどの取引において本気で役に立った11冊を厳選して紹介しています。

FXおすすめ本11選|本気で投資で稼ぎたい初心者が最低限おさえるべき書籍

4.おわりに|自分に合ったテクニカル分析見つけること


素のチャートは、人によって見え方が違うということを上記で書きました。ですから、同じチャートで同じ手法を使っている人がいても、それぞれの投資成績は変わってきます。おそらくこれが、取引を教えることを難しくしている一因です。

しかし、素のチャートが人によって違って見えるように、それを単純化したテクニカル指標でさえ、人によって見え方捉え方が違ってきます。ですから、ある人は特定のテクニカル分析を使うと運用成績が良くなるけれど、別の人が使うと運用成績が悪くなるということも起こりうるのです。あなたが実際に使ってみて、より歪みなく見えるテクニカル分析は、どれでしょうか? それを自分できちんと把握しておけば、相場で生き残ための大きな武器になるでしょう。