成行注文とは|指値注文との違いや意味や読み方、株やFXで有効な使い方


成行(なりゆき)注文とは、株やFXなどの取引において、値段を指定しないで注文することです。

この記事では、成行注文の注意点や有効な使用法や考え方について解説します。また、成行注文とは反対に価格を指定して注文を出す、指値注文との使いどころの違いについても紹介しましょう。

たかだか注文方法ですが、考え方が間違っていると、大きな損失を招くことにもなります。ぜひ、この記事で、しっかりチェックしておきましょう。

1.成行注文と指値注文の意味や、英語の呼び方を解説


この章では、成行注文の意味や英語での呼び方、また指値注文についても解説します。

1-1.成行注文とは|成行買いと成行売りの意味

成行注文は、上記で説明したように、FXや株などの金融商品を取引するときに、値段を指定しないで注文することです。英語で言えば、「Market order」になります。

成行注文を買いで行う場合は、成行買い、売りの際は成行売りなどという言い方をすることもあります。成行買いを実施すると、その時に、最も高く売り注文を出している価格で、売買が成立します。反対に、成行売りでは、最も安く買い注文を出している価格で取引が執行されます。

成行注文には、迅速に取引が成立するというメリットがあります。反対に、価格を指定していないぶん、思わぬ高値・安値で取引が成立してしまうこともあります。

1-2.指値注文とは|便利だか約定しないことも

成行注文とは反対に、この価格でしか売買したくない時などに、価格を指定して注文を出すことを、指値注文と呼びます。指値注文を英語で言うと、「Limit order」です。

指値注文は、自分が価格を指定して売買できるので、より慎重な注文方法だと言えます。だだし、自分が指定した価格で反対売買を行う人がいなければ、その取引はいつまでたっても執行されることはありません。また、指値で売り注文を出していたとしても、相場が急変動して指値以下の価格になれば、その値下がりした価格で売買が成立することもあります。

2.成行注文と指値注文の特徴を捉えた使いどころ


この章では、成行注文や指値注文を、どういう場面で使うといいかについて解説します。ここで紹介する考え方を身につけていないと、思わぬ損失を招くこともあるので、ぜひリラックスして読み進めてみてください。

2-1.こんなときは指値で|成行注文で失敗するケース

株などでは、取引している人が少ない銘柄があります。取引している人が少ないということは、注文を出している人が少ないということです。

基本的に相場では、この価格で株を売りたいという人と、この価格なら買いたいという人がいることで取引が成立します。ですから、取引している人が少ない銘柄だと、適正価格とはかけ離れた価格でしか、注文を出している人がいないケースもあるのです。そのような銘柄で成行注文を執行すると、イメージしていたのとは違う高値で、株をつかまされてしまうこともあります。

また、経済指標が発表されたり、大きなニュースが流れたりして、相場が激しく動いている時に成行注文を出すと、提示されている市場価格とかけ離れた価格で取引が成立することもあるので注意してください。多くの人が取引することで、注文処理にタイムラグが生じるためです。

こうしたケースをスリッページと呼びますが、スリッページについては以下の記事で詳しく説明しています。スリッページで損をしないための対策などについて解説していますので、ぜひ読んでみてください。

スリッページとは|意味や設定値、損をしないための対策とポイントを解説

2-2.成行注文の注意点|時間差ですぐに買えないことも

成行注文の利点は、迅速に売買が成立することです。明らかに値動きが期待できるようなニュースが報道された時、すぐに買いたいと思うこともあるでしょう。けれど、多くの人が一度に注文を出せば、いくら成行注文をしても買うことはできません。ストップ高の時もそうですね。

コンピュータがいかに発達しようと一瞬で処理できるわけではありませんし、買いたい人に対して売りたい人がいなければ、売買は成立しません。

2-3.約定の順番は成行注文の方が先|損切りは成行で

上記のように買いたくてもすぐに取引が成立しない時、どういう順序で売買が成立していくのでしょうか? 売買が成立することを約定と呼びますが、成行注文どうしであれば、当然先に注文を出した人から約定します。

では、成行と指値ならどうでしょうか? 例えばある人がある価格で指値で注文を出していたとして、それより後に別の人が成行で注文を入れたとします。その後相場が急変動して、指値以下の価格になったとしたら、指値と成行のどっちの注文が優先されるでしょうか?

通常は、成行注文の方が先に約定します。ですから、できるだけ早く買いたい、より迅速に売りたいという時は、基本的に成行注文で売買するのが鉄則です。

では損切りの時はどうでしょう? 損切りはより迅速に行うのがセオリーです。特にデイトレやスキャルピングでは、一瞬で値が変わってしまうこともあります。ですから、特に相場の動きの早いときは、指値ではなかなか約定しないので、基本的には成行注文を使うのがおすすめです。

2-4.寄り付きの成り行き注文は始値で約定

株などで、その日の最初の取引が成立し、価格が決めることを「寄り付き」といいます。寄り付きで決まった価格が、始値(はじめね)です。では、寄り付きでは、成行注文と指値注文はどちらが有利でしょうか?

答えはどちらも変わりません。なぜなら、成行注文、指値注文にかかわらず、全ての取引がはけた後に、始値が決まるからです。

3.おわりに|仮想通貨は成行注文か指値注文か


いかがでしたでしょうか? 成行注文について、より深く理解できたのではないでしょうか。ポジションを取る時は、成行注文、指値注文どちらを使ってもいいと思います。

ただし、指値注文に関しては、その相場でポイントになっている価格(多くの人が意識している価格)で注文を出した方が、有利に働くことが多いです。そして損切りの時は、一刻も早く逃げなければいけない状況ですから、基本的に成行注文を実施することがおすすめです。これは動きの激しい、ビットコインなどの仮想通貨にも応用できるでしょう。

なお、逆指値注文については、以下の記事で解説しています。この記事とセットで読むと、より理解が深まります。

逆指値とは|FXや株での逆指値のやり方や指値との違い、効果的な使い方