FXで損失した時の対策|取り戻すという考えが退場や借金を招く3つの理由


FXで損失を出してしまった時、額が大きければ大きいほど本当に辛いものです。そんな時、自分の取引のいったい何が悪かったのかと悩むかもしれませんし、損失を出さないためには何をすればいいのかという情報を探すかもしれません。

しかし、FXは損失を出さないことが重要なゲームではありません。損失をコントロールすることこそが重要なのです。

ですから、損失そのものよりも、どのような形で損失を出したのかを自己分析することや、自己認識することが何より大切です。大きな損失を出して退場してしまう人のほとんどはこれができているつもりでできていません。

そこで、この記事では、FXで損失が出た時にどう考えればいいのかや、取り戻したいという気持ちが退場を招く本当の理由をお教えします。そして損失が出た時の対策についても解説します。

1.FXで損失を出した時どうする? 解説と対策


あなたが初心者なら、FXで損失が出てしまったら、いったい自分は何をしているのかと葛藤するでしょう。それは当然です。儲けようとして始めたFXでよりにもよって損失が出ているのですから。でもちょっと冷静になって、この記事を読んでみてください。それをきっかけに、より大きな損失を防ぎ、最終的に利益につなげていってもらえればこれほど嬉しいことはありません。

1-1.FXの損失額の平均

FXで損失を出しているのは、何もあなただけではありません。ほとんどの人は損失を出しています。それだけFXとは厳しいゲームだといえるでしょう。

では、多くの人は平均してどれくらいの損失を出しているのでしょうか? それにはっきりと答えられる統計はありませんが、過去の統計やウェブアンケートなどの結果から、概ねの数値は出すことができます。

かつて、アブラハム・プライベートバンクが2012年に累計投資額が300万円以上の1000人の個人投資家にアンケートを行いました。その結果、約7割の個人投資家が損失を出していることが判明しました。損失の平均額はマイナス525万円に達していました。

これはFXだけでなく、株や不動産などの投資対象を合わせた結果ですから、FXだけの正確な数値とは言えませんが目安にはなります。また、幾つかのウェブアンケートの結果を見てみると、FXでこれまで損した額は100万〜500万円と答えた層が最も多いことから、マイナス525万円という数値はFXの損失額の平均としてあながち遠いものではないのかもしれません。

ここからは想像ですが、FXで退場する人は、100万から500万程度の損失を出した後、それ以上の損失に耐えられず、「自分にはFXは無理だ」と考えてやめていくのではないでしょうか。

1-2.なぜFXで損失が出たか?FXの損失には2種類ある

初心者はFX取引で損失が出た時、損失したことの全てが悪いものだと考えがちです。確かに損失がないならない方が精神的にもいいですよね。けれど、FXをやっている限り、すべての取引で損失を出さないなんてことはできません。どんなに分析が得意な人でも、その分析が外れることはよくあることです。

ですから、FXで損失が出た時に、なぜ損失が出たか?と考えるよりも、どういう種類の損失なのかを考える方が重要です。というのも、FXの損失には2種類があるからです。

その2種類とは、
1.あらかじめ想定していた損失
2.想定を外れた損失

です。

「1.あらかじめ想定していた損失」とは、損切りのラインなどを決めて、そこで損失を確定できた時の損失です。これは、損失はしているのですが、損失を限定できたという意味で、リスクコントロールに成功した状態です。

反対に「想定を外れた損失」とは、例えば、損切りラインを超えても損失が確定できずに、それ以上の損失を出してしまっている状態のことです。あるいは、そもそも損切りラインを決めずに、一か八かで取引をしているような状況もこれに当てはまります。

FXでは自分でゲームの負けを決めていなければ、いくらでも損失が増えていく可能性があるのです。ですから、自分でどこまでの損失なら許容できるかをあらかじめ決めて取引を実施しているのです。ですから、ゲームのルールを自分で決めて、その通りにできていなければ、それは全て想定を外れた損失と言えます。

けれど、注意して欲しいのは、「1.あらかじめ想定していた損失」ならばいくらしてもいいという意味ではありません。常に想定していた損失を出していれば、資金はやがてゼロになってしまうでしょう。ですから、想定したものでも損失ばかり出している状態なら、あなたは相場をよく読めていない状態だと考えるべきです。そうした場合、少し取引から離れて、自分の手法や考え方を一度見直してみるといいでしょう。

2.FXで損失を取り戻そうとしてはいけない3つの理由


FXの初心者がよく陥る落とし穴として、損失を何としても取り戻したいと考えて、どんどん深みにはまっていくということが挙げられます。この損失を取り戻したいという心理は、人間にどんな作用をもたらすのでしょうか。あなたが、その罠にはまらないために、この章で解説しましょう。

2-1.FXで人間は得するよりも損したくない気持ちが強い

投資行動を説明するにあたって、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらによって発見されたプロスペクト理論はあまりに有名でしょう。人によっては耳にタコという人もいるかもしれませんが、本当にこの言葉を理解して、その通りに行動できている人は稀です。

そうでなければ、損失をかかえ、日々もんもんとしている人がこんなに多いはずはありません。この言葉を知っている人も知らない人も、ここでよくこの理論を理解して、自分自身の行動に当てはめてみる時間を作るといいでしょう。それは新しいテクニカル分析を勉強することよりも、ずっと価値があります。

プロスペクト理論を一言で説明するなら、損得が絡む状況では多くの人は合理的な行動ができないということです。具体的に説明しましょう。

あなたが、あるコインゲームに誘われたとしましょう。コインゲームとは、コインを投げて表が出るか裏が出るかで勝敗を競うゲームのことです。このコインゲームについて、あなたは、主催者から以下のような提案を受けました。

表が出た場合:100万円がさしあげましょう。

その代わり、

裏が出た場合:50万円を支払らってください。

でもあなたがどうしても、このゲームに参加したくないなら、無条件で20万円をさしあげましょう。

あなたなら、このゲームに参加するでしょうか? それとも無条件で20万円を貰うでしょうか?

プロスペクト理論の実験では、ほとんどの人がコインゲームに参加せすに無条件で20万円をもらうという選択をするそうです。でもそれは本当に合理的な選択なのでしょうか? あなたが投資家なら、無条件で20万円をもらうという選択はありえません。

あなたが参加する賭けが分のいいものなのか、そうでないかを測るのに期待値という概念があります。

上記の例で、この期待値を算出してみましょう。
まず参加した場合の期待値は、
(100万円 × 0.5)+(-50 万円× 0.5) = 期待値は25万円

参加しなかった場合の期待値は、
(20 万円× 1.0)+(0 円× 0) = 期待値は20万円です。

つまり、純粋に数値で測るなら、参加するほうがより合理的な判断だということができます。しかし、多くの人はもし負けた時の50万円の損失を恐れて、有利なゲームに参加できないのです。

このように、人間は何ら訓練することなく普通に生きていたら、よりリスクを回避するような選択をします。FXの取引で言えば、ポジションを解消しなければ、まだまだ儲けられそうな時に、目先の確実な利益に目がくらんで早々に利益確定をしてしまうようようなケースがこれに当てはまります。

しかし、プロスペクト理論の面白さは、これだけではありません。人が損失を抱えた時にこそ、この理論を知っておくことが、投資行動に有利に働くのです。それを次項で紹介しましょう。

2-2.FXで退場や借金を出す仕組み

プロスペクト理論を知ったあなたが、先ほどのコインゲーム参加したとしましょう。これは期待値が高いゲームなんだと自分に言い聞かせて。

ゲームのルールをおさらいすると、コインの表が出れば100万円もらえますが、裏が出れば50万円のマイナスです。さて、コインが天高く投げられました。結果は・・・・・・。

なんと、あなたは不幸にも、コインの裏を引き当ててしまいました。つまり、50万円の損失を出してしまったのです。

この時のあなたの心理状況はどんな感じでしょうか。おそらく心穏やかではないはずです。
そんな意気消沈しているあなたの姿を見て、ゲームの主催者にさらに話を持ちかけられます。

今度はルーレットを回して、赤を引き当てることができたら100万円をあげると言うのです。
ただし、黒が出たら30万円をあなたが支払らわなければいけません。
ただし、そのルーレットでは赤が出る確率は50%ではありません。全体的に赤の目は全体の30%しかなく、70%が黒の目になっています。

つまり、
出現率30%の赤が出れば100万円のプラスで先のゲームで負けたマイナス50万円を引いても50万円の儲けが出ます。
出現率70%の黒が出れば30万円のマイナスとなり、先のゲームで負けた50万円を合わせてマイナス80万円になってしまいます。
あなたならこのゲームに参加するのでしょうか?
主催者は迷っているあなたを見て、もう一つの提案をしてきました。この勝負に乗らないなら、無条件で10万円だけ返金するから、今日はもう帰りなさいと言うのです。
この提案に乗れば、先のゲームで負けた50万円の損失が、40万円で済むということになります。

もし損失を抱えていない状況ならば、多くの人が無条件で10万円をもらうという選択をします。けれど、損失を抱えている状況の時、人は違った選択をするのです。

つまり50万円の損失を抱えているときに、多くの人は出現率30%の赤が出ることを期待して、先ほどのコインゲームよりも部が悪い勝負に出てしまうという結果が出ています。これは何を意味しているのでしょうか?

つまり、人は損失を抱えた状況の時、何とかその損失を取り戻したいと渇望し、分の悪い勝負でも一発逆転を狙って参加してしまいがちだということです。この場合、最善の選択は、無条件で10万円の返金を求めて、その日の損は40万円で止めておくことです。

果たして、あなたに、この合理的な選択ができるでしょうか? 多くの人はやっぱり50万円の損失が嫌で、赤が出る30%の確率に賭けて100万円を狙っていきたくなるのではないでしょうか。

FXで退場してしまう人や借金を抱えてしまうような人の心理も、これと全く同じなのです。つまりその日の損失をどうしてもプラスマイナスゼロにしたくて、冷静な状況ならとてもしないようなハイリスクな取引をしてしまいがちだということです。これがFXで、より大きな損失を出してしまう仕組みです。プロスペクト理論はこれを解き明かしたのです。

FXであなたが損失を抱えている時は、損失を抱えていない状況の時とは、違った心理状況にあるということを知ることです。これを回避する方法は、その日の取引をやめて、それ以上損失を出すことを食い止めることです。

2-3.FXで大きな損失を出しやすいのは主婦?

FXで損失を出してしまっても、あなたが日中働いているなら、その間に冷静さを取り戻すこともできるかもしれません。けれど、主婦のような立場で、1日中取引できる環境にあるなら、危険度はさらに増すでしょう。先に紹介したプロスペクト理論のように、損失した状態を回避したくて、不利な取引を繰り返してしまう可能性が大きいといえるでしょう。

もっとも、最近はスマートフォンでいつもでもFXを取引できる環境にありますから、誰にでも当てはまることなのかもしれません。これを回避するには、どれだけの損失を出したら、その日の取引はしないなどの厳格なルール作りが必要になります。

3.おわりに|FXで負けたら確定申告で損失を繰り越し


FXの初心者であっても、熟達者であっても、年間の収支がマイナスになってしまうことはあります。どれだけ期待値の高い取引をしていても、一時的にマイナスになることはよくあることです。けれど落ち込むことはありません。期待値の高い選択をすることを長く続けれいればいるほど、そのうち収支はプラスになっていきます。

けれど、それを実現するには損失が出た年にも必ず確定申告をすることが重要です。収支がマイナスなら確定申告をする義務はありませんし、もちろん税金を払う必要はありません。けれど確定申告をしていれば、翌年に収支プラスになった時に損失を繰り越すことができるのです。つまり前年のマイナスを考慮して、税金が安くなるということです。このように長いスパンで取引を考えられるなら、負けた年にも確定申告をしておくことは必須なのです。

FXの確定申告については、以下の記事で詳しく紹介しています。

FX税金のすべて|損しないための税金対策や確定申告、経費や計算方法と税率