FX税金のすべて|損しないための税金対策や確定申告、経費や計算方法と税率


FXでは取引きで利益を上げることも大切ですが、税金の知識も持っておく必要があります。でも、FXの税金ってどうなっているのでしょう。税金で得をする方法はあるのでしょうか? また、あなたは、FXで儲けが出ているのに税金を納めていなくて、不安になっているかもしれませんね。

税金とFXの取引は一見関係ないようですが、税金のことで不安を感じていると、投資のパフォーマンスにも影響します。なぜなら、知らないことを不安に思っている心は、確実にマイナスに作用するからです。けれど、税金の知識はこの記事を見れば、簡単に分かることです。少しだけ時間をとって、FXの税金のことを一度きっちり学んでおきましょう。そうすれば、心にゆとりができ、実際の取引にも良い影響を与えるはずです。

1.FXの税金は結局いくら?会社員は20万の利益から


結局のところ、FXの取引をしたら、税金を払わなければならないのでしょうか? ここでは、あなたの状況に合わせて、どれくらい儲けたら税金を払えばいいのかを、わかりやすく説明します。ポイントをおさえて解説しますので、後でこんなはずではなかったということがないように、しっかり学んでいきましょう。状況別に説明しますので、まずどちらに自分が当てはまるかをしっかり確認してくださいね。

1-1.FX税金|サラリーマンの確定申告

FXでは利益を得た額によって、税金を払わなければなりません。でも利益が特定の金額以下であれば払う必要はありません。では、いくら稼げは税金がかかってくるのでしょう。

あなたがサラリーマンで、会社での年収が2,000万円以下の場合、FXも含めた給与以外の所得が20万円を超えると税金を納めるために確定申告をする必要があります。また、副業や他の投資をしていれば、その利益とFXの利益をプラスして20万円を超えると確定申告をする必要が生じます。なお、年収が2,000万円以上なら、FXの利益があろうとなかろうと、確定申告をする義務があります。

本業の仕事以外に、FXしかしていない普通のサラリーマンであれば、単純にFXの利益が20万を超えたら税金を払わなければいけないと覚えておいて問題ないでしょう。逆に言えば、損失を含めた年間でのトータルの利益が20万円を超えていなければ、確定申告をする必要もなければ、FX取引での税金を納める義務も生じません。

1-2.FX税金|専業主婦や学生、無職・ニートの確定申告

アルバイトやパートの年間収入が65万円以下で、FXの利益が38万円以下であれば確定申告をする必要はありません。FXで38万円以上稼げていないなら、税負担のことは特に考えなくてもいいということです。

気をつけて欲しいのは、主婦の方が、FXで38万円以上の利益を出して確定申告をする義務が生じると、配偶者控除(扶養)から外されてしまうことです。外されてしまうと、世帯主の税額負担が増えてしまいますので注意してください。また、稼いだ額によっては、年金や国民保険などの負担が生じることもあります。

2.FXの税金計算方法|税率はどれくらい?


あなたがFXで税金を払わなければならない対象になるかどうかは、1章でお分かりいただけたかと思います。ここでは、具体的にいくら払わなければいけないかということについて説明します。

2-1.計算機が不要なほど簡単なFX税金の計算の仕方と例

FXの税金は、儲けた額の20%の金額です。これにプラスして復興税がかかるので、税率は20.315%になります。税金の対象は、スワップポイントでの稼ぎも含まれます。計算式で表すと、

FXでの利益×0.20315=払わなければならない税金

となります。簡単ですよね。

例えば、FXで150万円の利益があったとしたら、

150万円×0.2=30万4725円

となり、30万4725万円の税金を支払う義務が生じます。「結構でかい金額だな」とあなたは思ったかもしれません。けれど、その思考は実は危険です。その理由は、後の章で解説します。

2-2.FXの損失も確定申告しよう

「自分はFXで負けているのだから確定申告は不要だな」と、あなたは思ったかもしれませんね。けれど、将来FXで稼ぐためにも、損失が出ている場合も、ぜひ確定申告をしておいて欲しいのです。

なぜなら、損失を確定申告することで、次の年から3年の間に出た利益と相殺することができるからです。将来、FXで稼ぐ気持ちがあるなら、未来の税金対策のためにも、ぜひ損失を確定申告しておきましょう。

3.FXの税金で確定申告しないとどうなる?申告を忘れた場合


もしかしたら、あなたはFXの確定申告をしていなくて不安になり、この記事を見ているのかもしれません。FXで利益を出していても、確定申告していない人が多いのが実情です。ここでは、FXの課税の対象であるにもかかわらず、「確定申告をしなくてもいいのか?」「確定申告をしないとどうなるか?」ということについて説明します。

3-1.FX税金|加算税という名の罰金

FXで利益が出ていても、確定申告していない人は案外多いです。少額の利益だから、バレたら払えばいいと考えているかもしれません。しかし、バレたらあなたが思っている以上の多額の納税が必要になるケースもあります。

では、バレた時にどれくらい支払わなければならないのでしょうか?

まず、無申告加算税が課されます。これは利益が50万までなら15%、それ以上であれば20%の加算となります。正当な理由がある場合や、納税期限から2週間以内であれば、無申告加算税は不適用となるケースもあります。

悪質な場合は、重加算税が課されます。これは40%の加算となります。
では重加算税が課される悪質なケースとは、どんな場合を言うのでしょうか。国税通則法第68条では「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」とされています。つまり、意図して隠そうとした場合、重加算税が課されるということです。でも、意図してやったことかどうかという判断は、税務署がすることですから、もしその意思がなかったとしても課される可能性があるということです。

確定申告をして確定した税額を法定納期限までに納付していない場合、延滞税がかかってきます。これは年7.3%~14.6%の加算です。ただし、延滞税は本来払うべき税金のみを対象としたもので、重加算税などに対しては課されません。

3-2.FXの税金の無申告・脱税の時効は?

確定申告の無申告(脱税)の時効は5年です。その脱税が悪質であれば、さらに7年まで延長されます。つまり、最大7年間逃げ切れば、税金の支払いを逃れることができます。これを実行するかしないかは、あなたの考え方しだいです。しかし、7年はかなり長い期間だと感じますし、リスクも相当高いでしょう。私としては、おすすめできる方法ではありません。

3-3.FXの税金が会社にばれるのは住民税から

FXをやっていることが、会社にバレるのはまずいと考えている会社員の方もいるでしょう。会社にバレるのは多くの場合住民税の納税時になります。

FXは申告分離課税ですから、給与所得とは別に取り扱われています。ですから、会社の給与とは別に納税すれば問題ないように思えます。しかし、問題は住民税です。

通常、住民税は会社の給与から天引きされるので、その時に引かれる住民税の額が通常より多いことから、バレてしまうのです。ただし、会社の収入以外に収入があるということが、バレるだけで、その収入がFXのものかは特定されることはありません。会社の他に、副業をしているのかと疑われるケースもあります。なお、住民税に反映されるのは、利益を出した翌年になります。

会社にバレないための、対策もお教えしておきましょう。住民税の納税方法は、「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。確定申告時に「普通徴収」を選択することで、直接自分自身に納付書を送ってもらうことができるので、会社にバレることはまずありません。

4.FX税金の申告の仕方|書類の提出方法は?


ここまで、読んだあなたは、FXの税金を支払う気になったのではないでしょうか。ここでは納税方法を簡単にお教えします。現在はネット経由で、簡単に税金を支払うためのシステムも整っています。

4-1.FX税金|確定申告の対象と申告時期は?

FXの確定申告は 、その年の 1月始めから12月末までに決済した売買利益とスワップ金利の利益が対象です。

確定申告をしなければならない時期は、利益を出した翌年の「2月中旬から3月中旬」になります。 細かい日程は12月ぐらいに決まりますが、その日程が決まると、大抵FX会社からメールなどで案内がきます。

2017年を例にすると、2017年1月1日~2017年12月31日までに出た利益を確定申告しなければなりません。その納付時期は、2018年の2月中旬から3月中旬までということになります。

4-2.FX税金|確定申告はどこでする?場所は?

FXの確定申告は、申告書を税務署へ提出することで完了します。確定申告をすることで、納付しなければいけない所得税額が確定するのです。もちろん、確定申告をしなければ、税金が確定しないので、払いようがありません。だたし、申告漏れがバレたときは、3章で説明したように、多く税金を支払う羽目になることもあるということです。

最近は、わざわざ税務署へ足を運ぶことなく、インターネット経由で申告を済ませてしまう人も増えてきました。行列にも並ぶことなく、税務署が開いていない時間でも申告できるのでおすすめです。

ネットで申告する場合、以下のサイトから申告できます。案内に従って入力していけば、簡単に確定申告ができます。
「国税電子申告・納税システム」

5.知らないと損するFXの税金対策


ここでは、FXの税金を安くする方法を解説しましょう。家賃・通信費・パソコンはFX取引に必要なものだから、経費として認められるでしょうか? 法人化したら税金は安くなるでしょうか? また、両建ては税金対策に有効かということについて解説します。

5-1.家賃・通信費・パソコンは経費として申告できる?

FXのために使った費用は、経費として認められることもあります。経費として認められると、その経費が税金から引かれることになります。ただし、FXのために使ったということが認められなければ、経費とはなりません。個人で投資を行っている場合、手数料以外の費用が必要経費として認められるかは、管轄する税務署の判断によりますので、非常に曖昧というのが正直なところです。

経費として認められる可能性があるものは以下です。
・取引手数料
・銀行振込手数料
・パソコン購入代金
・書籍や新聞の代金
・電話代・ネット回線などの通信費
・スマートフォン・携帯電話代
・セミナー参加費と会場までの交通費
・筆記用具

5-2.FXの税金対策|会社設立(法人化)は節税になるか?

FXの税金対策の一つとして、法人化が挙げられます。法人化とは、FX取引を主な業務とする会社を、自分で作るということです。法人にすることで、個人と比べて経費として認められるものが増えるので(経費として認められやすくもなります)、結果的に節税になります。また、損失の繰越が7年になるのもメリットですし(個人の場合は3年)、FX会社にもよりますが、法人だとレバレッジも25倍以上、場合によっては数百倍かけることもできるようになります。

ただし、法人化は非常に手間がかかり、毎年維持費もかかってきます。あなたがFXで相当稼いでいるなら、法人化を一つの選択肢に入れてもいいかもしれません。ただし、私の知る限りでは、法人化しても経費の計算などが面倒臭くなり、結局やめてしまう人がほとんどです。

5-3.FX税金対策|両建てで節税する方法とは

FXでは、利益を確定しなければ税金はかかりません。含み益には税金はかけられないということです。これを利用して、年末にポジションを両建てして節税する方法は、一般によく知られています。両建てとは、売りと買いのポジョンを同時に持つことです。

具体的に説明すると、買いのポジションを5枚持っていて利益が出ているとします。利益確定をしたいところですが、「今は12月、今ここで利益確定してしまうと納税額が多くなるな」という状況だとします。そんな時、買いポジションと同じ枚数の売りポジションを持てば、利益は固定されます。そこで年が明けてから、買いと売りのポジションを全て決済すれば、前年の税金には反映されないということです。正確には節税ではなく、利益の繰り延べということになるでしょう。

なお、両建ての意味や、FXや株式で両建てを使い利益を出していく手法については、以下の記事が詳しいです。節税のことを考える以上に、有益な情報を得ることができるでしょう。

両建てナンピン必勝法の真実|実践者が語るFXでの手法や外し方のテクニック

6.FXで税金のことを気にしてはダメな本当の理由


この記事では、FXの税金について解説してきました。これはこれで知っておかなければならない知識なのですが、税金のことをあまり気にしすぎることも、あなたのマイナスになります。

特に初心者のうちは、税金を払いたくないばかりに、「20万円以上稼ぐと税金がかかってくるからこれくらいの利益に止めておこう」などと考えてしまいがちです。けれどこうした思考は、FXで利益を出す際のメンタルブロックとなってしまうで注意が必要です。メンタルブロックとは、心のブレーキのことです。せっかく儲けを出せる状況にあるのに、税金のことを気にしだすと、無意識のうちにメンタルブロックがかかりチャンスを逃してしまうのです。

私のオススメは、より多くFXで稼いで、気持ち良く税金を払っているイメージを持つことです。節税のことは、確実に儲けられるようになってから考えても遅くはありません。ただし、申告忘れには、くれぐれもご注意ください。