FX危ないリスク8つ|初心者を狙う危険な落とし穴とリスク管理・回避方法


FXは大きな利益を与えてくれる代わりに、知識もなく取引をしていると莫大な損失を抱えてしまうこともあります。いえ、知識を十分に持っている人でさえも、地合いによっては損をしてしまうこともあるというのが、本当のところでしょう。では、FXにはどんなリスクがあるのか、そしてそのリスクと、どう向き合っていけばいいのかを知ることが、上達の第一歩になります。

この記事では、この記事では、FXのリスクを甘く見ていたがばかりに、過去に膨大な損失を出したこともある著者が、FXにはどんなリスクがあるのか? FXのリスクを株式と比較するとどちらが危険か? さらに、FXのリスクを回避する方法などについて解説します。これから、FXを始めようと考えている方、FXでイマイチ利益を出せない方に、ぜひ読んでもらいたいです。

1.FXにはどんなリスクがある?初心者は危険?


率直に言うと、FX市場は何も知らない初心者が楽に稼げるなどと安易に考えて、取引するにはとても危険な場所になるでしょう。なぜなら、言葉は悪いですが、そうした初心者から、お金を巻き上げることによって、勝ち組たちの安定した利益が成り立っているからです。

私も勝ち組たちのおこぼれにあずかっている一人ですが、時には読み違えて負け組の方に入ってしまうこともあります。それでも現在何とか生き残っているのは、FXのリスクをよく熟知しているからだと考えています。この章では、まずFXのリスクについて考えてみましょう。

1-1.そもそもFXとは?

FXのリスクを考える前に、まったくの初心者の方に、そもそもFXとは何かについて説明しましょう。ですから、あなたがある程度の知識を持つ方なら、次の項に飛んでいただいても結構です。

FXとは、誤解を恐れず単純化して言えば、外国のお金を売ったり買ったりすることと言えるでしょう。FXでは、たとえば、「ドルと円」「ユーロとポンド」のように、2つの通貨がペアになっています。

つまり、FXで取引するということは、このペアになった通貨の一方を買い、もう一方を売るということになります。ドル・円の通貨ペアであれば、円を売りドルを買う(ロング)、あるいはドルを売り円を買う(ショート)という取引をすることになります。

上記の円を売りドルを買う(ロングと呼ぶ)というポジションを取った場合、ドルという通貨の価値が上がれば儲かります。反対にドルを売り円を買う(ショートと呼ぶ)ポジションを取った場合は、円の価値が上がれば儲かることになります。

1-2.実はFXはリスクが少ない?株と比較すると

上記のように、FXでは主に2つの通貨間の相対的な価値の差よって、利益を出すものです。とはいえ、一国の通貨の価値が今後どうなるかなんて、よほど知識がある人にしかわからないでしょう。いえ、経済に精通したアナリストでさえよくわからないというのが本当のところだと思います。

FXと比較して、株式取引ならどうでしょう? 株式は基本的には企業の価値で、価格が上昇します。企業の価値であれば、その会社の業績を調べたり、業界全体の将来性や勢いから、今後どうなるかが、一般の人でも比較的予想しやすいと思いませんか? よく初心者には、株の方が向いていると言われるのは、このためです。

けれど株にも、もちろんリスクがあります。株を買ったその企業が、不祥事を起こせば株価は大きく下がるでしょう。地震などの災害に見舞われ、企業活動がストップすることだって起こりえます。さらに、そうした要因が重なれば、倒産してしまう可能性もあります。倒産すれば、その株の価値はゼロです。

それに対してFXは国の通貨ですから、いきなり国家が破綻して、価値がゼロになるという可能性は株式よりは随分と少ないと考えられます。ですから、株式の方が取引は、しやすい面はあるけれど、最大のリスクはFXの方が少ないと言えるかもしれません。

一般的に考えて、株よりも国の通貨の方が安定していることはイメージできるでしょう。自国通貨がある程度安定していないと、国としても困るはずですから。けれど、安定しているはずの通貨を取引しているにもかかわらず、なぜFXで大損した人という人が大勢いるのでしょうか? その答えを、次章で説明していきましょう。

2.FXのリスク|FXの代表的なリスク


ここから、FXにおけるさまざまなリスクについて解説していきます。まずこの章では、FXの代表的なリスクについてご説明しましょう。

2-1.FXリスク1|為替変動

最初に、最もわかりやすいリスクを見てみましょう。上記で紹介した通貨ペアを売買すれば、2通貨間の取引価格が変動していくので当然、利益が出ることもあれば、損失が出ることもあります。この2国間の通貨を交換する時の取引価格のことは、為替レートと呼ばれます。

為替レートは常に動いていますから、仮にあなたが通貨ペアをロング(買い)あるいはショート(売り)して、予想が外れた時は損失を招くことになります。これが、最初のリスクです。

2-2.FXリスク2|金利(スワップポイント)

各国の通貨には、どれくらいの金利がつくかが政策などで決められています。よく「ドルの利上げ」「ゼロ金利政策」などと、ニュースで報道されるのは、この通貨の金利のことを指しています。

金利が大きな国の通貨(例えばドル)と、金利の少ない国の通貨(例えば円)の通貨ペアにおいて、金利が大きな国の通貨を買うようなポジションを保持していれば、その金利差に相当する、スワップポイントが毎日入ってきます(ドル円であればロング(買いの)ポジション)。反対に、金利が小さな国の通貨を買うようなポジションを保持していれば、毎日マイナスのスワップポイントがついて損をします(ドル円であればショート(売りの)ポジション)。

スワップポイントは、為替変動のリスクに比べると、微々たるものですが、長期間マイナスのスワップポイントがつくポジションを保持していれば、大きな損失になっていくでしょう。反対にプラスのスワップポイントを狙って保持することを、スワップ取引と呼んだりします。

2-3.FXリスク3|金利変動

各国の金利は政策などで決められていると、上記で書きました。ですから、金利は常に変化するものです。この金利変動は、何もスワップポイントだけに影響するものではありません。「金利の高い方に価格は動く」と言われ、基本的には(他の要因がなければ)金利が高い方の通貨が買われやすくなります。

アメリカの連邦準備銀行(FRB)が、だいたい四半期ごとに、金融政策を決定する会合を開いていますが、この会合で利上げや利下げが行われると、一気にドルの価値が変動しやすいのです。このような金利政策の発表時に、ポジションを持っていれば、一瞬にして大きな損失を招くことにつながります。

余談ですが、日本銀行が行っている、金融緩和という言葉もありますが、これは利下げとほぼ同じことです。ですから、金融緩和が実施されれば、基本的に円の利下げと捉えて間違いありません。

3.借金もある!FXレバレッジの危険性と落とし穴


この章では、2章に引き続き、FXのリスクについて解説していきますが、ここでは特に初心者がおちいりやすい、危険性や損失額の高いリスクについて紹介します。下手をすれば、借金をかかえることにもなるので、よくチェックしておいてください。

13-1.FXリスク4|レバレッジ

FXの魅力に、比較的大きなレバレッジがかけられるということが挙げられます。レバレッジとは手持ちの資金の何倍ものお金で、取引が可能になる仕組みのこと。例えば、株では3倍程度までしかレバレッジがかけられませんが、FXでは国内では25倍程度までかけられます。

自分の資金以上のお金で取引できるのですから、思惑通りにいけば大きな利益を出すことができるのは言うまでもありません。けれど、思惑が外れると大きな損失につながっていきます。

つまり、大きなレバレッジをかけるということは、リターンも大きくなる代わりにリスクも増大しているということです。特に初心者は、大きなリターンばかりに目がいき、レバレッジを最大までかけて取引しがちです。おそらく多くの人の場合、自分のプラスにもマイナスにもなるレバレッジを、損する方向にしか使っていないというケースがほとんどだと感じます。

3-2.FXリスク5|強制決済・ロスカット

少し考えてみてください。なぜレバレッジをかけて、自分の持っているお金以上の金額で取引できるのでしょうか? 

証券会社やFX会社がお金を貸してくれている、というのも一つの答えでしょう。しかし、取引業者からすれば、顧客にお金を貸して大損されたりすれば、そのお金を回収できるとは限りません。けれど、ほぼ確実に回収できる方法があります。それが、強制決済です。

つまり、顧客がレバレッジをかけて取引をしたとして、預かっている資金以上の損失が出る前に、取引業者は相場の状況がどうであろうと、強制的にポジションを決済してしまうことができるのです。

このレバレッジと強制決済が、FXで大きな損失を出してしまう最大の要因と言っても過言ではありません。強制決済については、以下の記事が詳しいので、大損するパターンにはまらないためにもぜひ一読してみてください。

ロスカット率を知らないと借金?計算方法や設定値、ロスカットルールを解説

3-3.FXリスク6|流動性

ドルや円、ユーロなどのメジャー通貨は、取引量が多いため、通常の状態であれば、いつでも売ったり買ったりできます。けれど、取引量が少ない通貨で、売りたい人や買いたい人がいなければどうなるでしょうか? 

取引している人がいないのですから、あなたがその通貨のポジションを持っていても売ることも、買うこともできなくなります。こうしたリスクを、流動性リスクと呼びます。取引が活発な場合を流動性が高いと呼び、取引が少ない場合は流動性が低いと言います。

ドルや円などに比べ、スイスフランやカナダドルはマイナー通貨と呼ばれ、流動性が低いといえるでしょう。たとえば、2015年1月に、スイスフランショックと呼ばれるスイスフランの大暴落が起きました。たった20分で、約40パーセントの下落を記録しました。流動性の低さも相まって、一気価格がワープし、この時スイスフランを買っていた人は、強制決済すら発動せず、FX業者から損失分のお金を要求されたと言います。このようなことは、あまりないことですが、可能性はゼロではないということです。

株などでも同じですが、流動性が低い銘柄で取引をすると、決済したいときに決済できず大きな損失につながっていくケースもあるので流動性リスクを十分理解したうえで、取引することが重要です。

4.FXで見逃しがちなリスク|取引の危険性を把握する

4-1.FXリスク7|スリッページ

FXの取引において、注文した時の価格で取引が成立するとは限りません。つまりパソコンやスマホの取引が画面に表示されている通りの価格で、取引できないこともあるということです。これは主に、タイムラグや取引量が多すぎて取引業者側で処理できなくなっていることに起因します。こうした現象を、スリッページと呼びます。

特に為替相場が激しく動いている時は、スリッページが発生しやすいです。これまで紹介したFXのリスクの中では、比較的小さなリスクではありますが、取引の回数が多くなれば大きな損失になっているでしょう。スリッページについては、以下の記事でそのメカニズムについて詳しく解説しています。後で、知っておけばよかったと後悔しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。

スリッページとは|意味や設定値、損をしないための対策とポイントを解説

4-2.FXリスク8|システムトラブル

FXで意外と意識されていないのが、システムトラブルです。システムトラブルには、2つの意味があります。

1つはあなたが普段取引しているパソコンやスマホが故障、停電、回線異常などで使えなくなることです。その間、当然取引ができなくなり、大きな損失を招いてしまうリスクがあります。これは、イメージしやすいですよね。

もう一つは、取引業者側でサーバーや通信機器などが異常をきたし、売買が一時的にできなくなることもあります。私自身も幾度か経験したことがありますが、いくら取引画面に進もうとしても、「現在メンテナンス中です」といった表示が出るだけで、一向に取引ができないのです。その間も為替相場は、お構いなしで動いていきます。私の場合は、大きな損失は招きませんでしたが、取引できない間は、恐怖以外の何物でもありません。昨今は減ってはいますが、こうしたトラブルを頻繁に起こす取引業者では、取引しないことも重要です。

5.FXのリスクを管理し危険を最小限に|リスク回避方法


これまで、FXにおける8つのリスクについて紹介してきましたが、これらのリスクを回避する方法は、あるのでしょうか? リスクを完全にゼロにすることは不可能ですが、危険を最小限にすることではできます。

それは人生でも同じです。たとえば、病気のリスクを完全にゼロにすることはできませんが、食事に気をつけたり、運動を習慣にしたりすることでリスクを減らすことはできます。FXにおいて、この食事や運動に相当する考え方や方法を、この章で解説していきます。

5-1.損切りを徹底することは本当に重要?

損切りの重要性は、色んなところで説かれていますが、その意味を本当に理解している初心者は稀です。そもそもバブル期以前は、損切りなど愚の骨頂という風潮があったそうです。

私が聞いた話では、プロの証券マンの中でさえ、損失を耐え抜く握力こそが、何より重要と考えている人が多くいたそうです。そうした考えを持つ我慢強い人たちが、トップトレーダーとして君臨していたといいます。バブルのような上り一辺倒の相場では、それでもよかったのでしょう。けれど現在のような上下動の激しい相場では、こうした考えではとても生き残れません。

ですから、日本で損切りが浸透してきたのは、実は比較的最近になってからとも言えるのです。損切りの本当の意味や、ルール設定などについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してみてください。FXで大きな損失を招かないために、ぜひ身につけておきたい技術です。

損切りとは?本当の意味や株・FXでの目安やタイミング、ルール設定を解説

5-2.FXのリスクヘッジの一つ両建て

損切りは、リスク回避の一つの方法ですが、これとは別のやり方でリスクを最小限にする方法があります。それが損切りの代わりに、両建てをする方法です。しかし、両建ては戦略的にやらなければ、全く意味がありません。また、都合のいい時だけ損切り、両建てと使い分けるのもおすすめしません。両者は全く違った考えから成り立つ手法だからです。

両建てを使ったリスクヘッジの方法の一例を、以下の記事で紹介しています。両建てにも、もちろんリスクはありますが、あなたの取引に対する考え方に新しい視点が加わるかもしれません。

両建てナンピン必勝法の真実|実践者が語るFXでの手法や外し方のテクニック

5-3.レバレッジの管理

この記事の2章を読んだ方は、レバレッジの危険性について、十分理解できたのではないでしょうか。でも具体的にはどうすればいいのでしょうか。

一言で言えば、レバレッジをかけずに取引するのが、最も安全だと言えます。仮に、かけても2〜3倍までに止めるというのが、現実的だと考えます。

けれど、私はレバレッジをかけるなとは言いません。私自身レバレッジかけたことにより、大きな利益を上げたことが幾度もあるからです。ただし、レバレッジをかけるのは、短期トレードに限ることです。長期間持てば持つほど、強制決済に追い込まれる可能性が上がります。

またFOMCなど大きな指標を挟む時にも、レバレッジをかけたままポジションを持ち続けることもおすすめしません。それでは、ほとんどギャンブルのような行動になってしまいます(例外としてかなり利益が乗っているポジションなら、持っているというものアリですが、これもギャンブルであることに変わりは変わりはありません)。

もう一点、レバレッジをかけるときは、必ずどこで損切りするのかを、決めておきましょう。くれぐれも切るに切れなくなり、強制決済などにならないように。

5-4.資金管理|リスクリワードの計算方法

投資は余裕資金で、行うことは言うまでもありません。投資でいい結果を出すには、何よりも精神的な余裕が必要だからです。生活費をかけてまでトレードをするなら、その時間でアルバイトでもしたほうが多くの場合、良い結果が得られるでしょう。

投資で失った資金は、戻ってきません。ですから、きちんと管理しておく必要があるのです。その一例として、ここではリスクリワードについて簡単に説明しておきましょう。

あなたは、ポジションを取る時にどこで損切りをして、どこで利益確定をするか決めているでしょうか? 損切りの重要性は、このブログでもさんざん取り扱ってきたので、徹底できている人もいるでしょう。しかし、どこで利益を確定するかまでは、決めていないのではないでしょうか。

ポジションを取る時に、損切りを決めると同時に利益確定位置を決めておくのが、あなたの資産を増やすのにきっと貢献するはずです。また、これを決めることによって、「今、本当にポジションを取っていいのか」ということまでわかってしまうのです。あなたがチャンスだと思ってポジションを取ろうとした時、それは実はチャンスではないかもしれないのです。

どういうことかというと、損切り幅に対してどれくらいの利益が望めるのかをポジションを取るたびに意識することで、投資成績が向上することが多いです。これを、リスクリワードと言います。例えば、現在ドル・円が110円だとして、109円まで下がったら損切りしようと考えたとします。この際、利益がどれくらい望めるかを考えるのです。例えば、利益確定ポイントが112円以上に設定できるなら、この取引を実施してもいいでしょう。しかしとても112円までは上がりそうにないと考えるなら、ポジションは取らない方がいい。

なぜそう言えるかというと、簡単な計算式に当てはめてみたからです。その計算式とは、

リスク(損切りポイント)1に対して、リワード(利益確定ポイント)2以上です。
この式に当てはまるような取引をしていないと、なかなか資金は増えていきません。

ですから、上記の例で言えば、1円下がれば損切りするのならば、2円以上の利益を望めなければリスクリワードの比率は1:2以上にならないから、あまり有利な取引ではないと判断できるのです。もちろん、リスクリワード比率は1:2よりも、1:3や1:10となった方がよりいいです。

6.おわりに|利益以外にFXから得られるもの


いかがでしたでしょうか。FXにおけるリスクについて、よく理解できたのではないでしょうか。また、リスク対策についても紹介しました。100パーセントリスクをなくすことはできません。回避できない自動車事故のような事態も起こりえます。

けれど、どんなリスクがあり、どんな対策ができるかを知ることで、あなたは主体的にリスクに関わることができます。FX以外の投資でも、この主体性ということがとても大切です。主体性とは、自分の頭で考えて、自分の責任において行動できるということです。私は投資に関わることで、この主体性について学ぶことができました。そして、それは人生のあらゆる場面で役に立っていることです。