ファンダメンタルとは|FXにはいらない?分析の基礎をわかりやすく解説


ファンダメンタルとは、簡単にいえば、国や企業などの将来的なことも合わせた経済状況を表す言葉です。つまり、ファンダメンタルを正確に読むことができれば、将来株価が上がるかを予想できたり、対象とする国の通貨が上昇傾向なのか、あるいは下降傾向なのかを読むこともできるということです。

この記事では、特にFXにおけるファンダメンタルの意味やテクニカル分析との違い、そしてどのように通貨のファンダメンタルを予測するのが正確なのかを解説します。仮にあなたがテクニカル分析を主に使っていたとしても、ファンダメンタル分析で大きな流れを知ることができれば、勝率をあげることに役に立つでしょう。

1.ファンダメンタルズ分析とは何か|わかりやすく説明


この章では、ファンダメンタル分析について、誤解のないように詳しく説明します。そして、ファンダメンタル分析と対をなす、テクニカル分析との違いについても触れます。ファンダメンタル分析の実践的な手法を知る前に、まず正確な意味を捉えておきましょう。

1-1.ファンダメンタルズ分析とは?英語で見てみると?

ファンダメンタルズ分析を英語でいうと、Fundamentals analysisです。analysisは「分析」という意味ですが、 fundamental とは「基本とか、基礎」ということを表しています。つまり、直訳すれば基本の分析ということになります。

そもそも投資とは、国や企業などが発展する見通しがあるから、資金を投じるものです。発展するかどうかの見通しを立てるには、投資対象の現在の経済状況を知り、長期的な視点で将来を予測していかなければなりません。これが投資の基本の形なので、投資対象の経済の状態を分析し、将来どうなっていくかを予想をすることを、ファンダメンタルズ分析、つまり基本の分析と呼ぶわけです。

1-2.テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の違い

一方、テクニカル分析は、過去に通貨や株がどんな値動きをしたのかというパターンを調べて、これを取引に利用していこうとする試みです。FXや株式市場の参加者は、生身の人間です。ですから、市場には人間の迷いや恐れ、そして欲といった人間の心理が投影されます。こうした人間の心理は、通貨や株の値動きに、ある種のパターンを生み出します。

テクニカル分析は、このパターンを使って取引するので、ファンダメンタルズ分析に比べると、短期的な傾向をつかむのに役立つとされています。ファンダメンタルズ分析が、経済や経営状況という分析対象の直接的な価値に焦点を当てているのに対して、テクニカル分析は値動きそのものに焦点を当て統計的に分析していく手法だと言えます。

2.FXのファンダメンタル分析ではどんなツールやアプリ使うか?


1章では、ファンダメンタルの意味やテクニカル分析との違いについて説明しました。では、FXおいて、どのように考えてファンダメンタルを分析すればいいのでしょうか? この章で解説していきます。

2-1.FXのファンダメンタル分析の基本は金利

FXのファンダメンタル分析において、何を重視するべきでしょうか? その国の経済政策や、雇用状況・全体の景気などももちろん重要です。しかし、それらが直接、通貨ペアの値動きに関係しているとは言えないのです。

こんな反論があるかもしれません。「えっ! でも実際に雇用統計などの経済指標が発表されたら、大きく値が動くじゃないか」と。確かにそうかもれません。けれど、たとえ雇用統計などの経済指標の結果が良くても、値動きは逆になることもあるのではないでしょうか? なぜ、こんなことが起こるのか考えたことはありますか?

その鍵を握るのが、政策金利です。

2-2.政策金利とは?FXとの関係

FXの通貨ペアの値動きの鍵を握る政策金利とは、どんなものなのでしょうか。政策金利というのは、中央銀行が一般の銀行に貸し付けるときの金利のこと。中央銀行とは日本で言えば日銀(日本銀行)、アメリカならFRB(連邦準備理事会)です。景気が悪いときは、政策金利を下げるというのが一般的な考え方です。

日本銀行は、2016年からマイナス金利政策を採っていますよね。アメリカでは、利上げや利下げがよくニュースになります。この政策金利が、FXに与える影響はとても大きいのです。

例えば、ドル・円の通過ペアで考えてみましょう。日本の政策金利が-0.10のときに、アメリカの政策金利が1.75だとします。このとき、ドル・円のレートは110円だったとします。

次に何らかの要因があり、アメリカが政策金利を0.25まで、一気に引き落す政策を打ち出しました。これに対して、日本の政策金利が-0.10ままだったとしましょう。このような状況になったときに、ドル・円のレートは110円から円高方向に向かうと考えるのが鉄則です。つまり、他に変動要因がなければ、今後ドル・円のレートは金利の差額が減ったぶんだけ109円、108円……と下がってくる可能性が高いと分析できるわけです。

何が言いたいかというと、FXの値動きはまず政策金利が基本になるということです。つまり、雇用統計をはじめとした様々な経済指標の結果がレートを動かしているのではなく、それらの結果が政策金利にどう影響するのかという視点で捉えられます。ですから、たとえ経済指標の結果が非常によいものだったとしても、それが政策金利に何ら影響を与えないと考えられるなら、レートはあまり動かないでしょうし、あるいは期待されるのとは逆の方向へ動くことさえあるのです。FXでファンダメンタル分析をするなら、この考え方が基本になります。

2-2.FXのファンダメンタル分析の情報源は?

個人投資家がFXのファンダメンタル分析に使える情報源として、一般的にはテレビやラジオ、新聞やインターネットの情報などが挙げられます。しかし、これらの情報はあなたの手元に届く頃には、もう古くなっている場合がほとんどでしょう。こうした情報をもとに、トレードをしたとしたら、おそらく資金はどんどん減っていくことでしょう(私は試したことはありませんが)。

情報源としてオススメなのは、FX会社が提供している為替に関するニュースです。FX会社によってはここに力を入れて、様々な会社のニュースやアナリストのレポートを頻繁に流しています。数値などは、信頼性が高いものです。

2-3.FXのファンダメンタル分析に速報は役立つ?

上述したFX会社の速報や専用の速報アプリが提供する情報などは、FXのファンダメンタル分析に役立つでしょうか。もしかしたら、多少は役に立つかもしれません。けれど、多くの場合、新聞やテレビほどではないにしても、発表された時点でもう遅いということになるでしょう。例えば、経済指標の速報値など、発表された時点でもうレートは動いています。

しかし、もしあながた、その速報を見て、これにより政策金利にどんな影響があるのかということまで考えることができれば、FXにおいて多少は有利に立ち振舞えるかもしれません。

3.株には有効だが、FXにファンダメンタルは必要ない?


例えば、株式投資なら、ファンダメンタル分析は掛け値なしに有益だと考えます。なぜなら、その企業の様々な情報や世の中の動きを読んで、将来的な予測を立てることは、ある程度までなら可能だからです。

では、FXにおけるファンダメンタルはどう考えればいいのでしょう。この章で、私なりの結論を出してみたいと考えています。

3-1.FXに関係する経済指標は予測できるか?

FXになると、個人投資家レベルでは、対象とする国がどんな経済政策を打ってくるのか、また将来の景気がどうなるかなど、なかなか予測できないのではないでしょうか。

仮に予測が立てられたとしても、個人投資家よりも多くの情報を持っている機関投資家などの予測に比べたら、精度はかなり低くなると言わざるを得ません。あなたがネットで調べられる範囲の情報では、おそらく太刀打ちできないでしょう。

3-2.本当のところテクニカル分析の方が一般人向け

テクニカル分析は、チャートを使って現在の値動きや今後の動向を予測したりする分析手法です。その最大の特徴は、誰にでも同じ情報が時間差なく得られるということです。ネットなどには、5分遅れや30分遅れで更新されるチャートもありますが、それでもテレビやラジオ、新聞などが提供するファンダメンタルに関する情報に比べたら十分早いといえます。

ですので、特にFX会社などが提供するリアルタイムのチャートは、個人投資家も機関投資家も平等に得られる数少ない情報と考えられます。ですので、情報収集の段階ですでに差がついてしまう、ファンダメンタル分析よりも、誰もが平等に同じ情報が得られるチャートを使ったテクニカル分析を用いた方が、個人投資家がFXで成功する確率は高いです。

3-3.ファンダメンタル分析を使った手法とやり方

とはいえ、FXでも基本を押さえたファンダメンタル分析を、ある程度は頭に入れておいた方が、たとえテクニカル分析を中心にトレードする場合でも、良い影響が得られるということはいうまでもありません。けれど、FXにおけるファンダメンタル分析を過剰に追い求めるのは、おそらく時間の無駄になってしまうでしょう。

基本は2章で述べた、政策金利と通貨ペアとの関係性を理解していれば、大きな流れはつかめるはずです。「金利が高い方から低い方へ流れる」というのが原則です。ですから、各国間の政策金利に差が出てくれば、為替レートもそれに応じて動いてくる可能性が高いと考えられます。これが、大きな流れをつかむということです。

上記のような手法で流れをつかんだ上で、テクニカル分析を用いるのが有効なFXのやり方になるでしょう。例えば、政策金利では円高方向と読めるが、チャートでは円安方向のトレンドが観測できる場合は、そろそろトレンドの終わりのサインが出るのではないかと考えることもできます。あるいは、政策金利では円高方向でトレンドも円高方向なら、そのトレンドはさらに続くと予測することもできるでしょう。