ダウ理論とは|6つの原則と使い方やFXでの取引手法を簡単にレクチャー


ダウ理論とは、テクニカル分析の基礎ともいえる考え方で、チャートを使ったトレンド把握を中心とした6つの原則から成り立っています。ダウ理論は英語では、Dow Theoryと呼ばれます。このダウ理論がなければ、現代的なテクニカル分析は生まれていなかったと言っても過言ではありません。

もしあなたが、FXや株式などで、チャートを使って取引したいと考えているなら、まずダウ理論を知らないことには、話になりません。そのくらい基本的な理論になります。

この記事では、ダウ理論の6つの原則や、ダウ理論の使い方、また、FXを例にした取引手法について解説していきます。ダウ理論について一通り理解できるように書いていきますので、ぜひこの機会にテクニカル分析の基本となるダウ理論を身につけてください。

1.ダウ理論とは|株・FXのテクニカルの基礎になる理論

投資における取引手法や考え方には、人それぞれいろんなスタンスを持っています。けれど、全くの初心者が「何か一つだけ、FXや株で取引するときに役に立つ考え方を教えて欲しい」と問うてきたなら、私ならダウ理論をお伝えするでしょう。

なぜなら、ダウ理論が比較的明確な理論で、初心者にも覚えやすくそして、現代の相場においても十分に通用するものだと考えるからです。こう書くと、ダウ理論に少し興味をおぼえてきたのではないでしょうか。この章では、ダウ理論が具体的にどういうものなのかを見ていきましょう。

1-1.ダウ理論とは|ダウ理論6つの原則

ダウ理論には、6つの原則があります。ダウ理論を使った取引手法とは、この原則に従って株やFXで取引していくということです。

原則1|株価(価格)はすべての事象を織り込んでいる
チャートは、株価や為替の値動きを記録したものです。でも実は、チャートとは過去と今現在のみを表したものではありません。例えば明日には、業績の下方修正の発表が突然あったり、不祥事が発覚したりするかもしれません。あるいは、地震が起こって大暴落する可能性も否定できません。こうした将来的な可能性をも織り込んで、今現在の価格がチャートに現れているという考え方です。つまり、将来をもすべて取り込んでチャートは動いているのだから、わざわざ企業業績などの分析しなくても、チャート分析のみですべてまかなえるということです。これは全てのテクニカル分析の基本となる考え方です。

原則2|ダウ理論には3パターンのトレンドがある
株やFXでの価格の動きは、海の波のように推移します。けれど、この波はいつも穏やかだとは限りません。嵐が来て、大きな波形をつくることもあります。大きな波は通常、価格が一定期間上がり続けたり、下がり続けたりすることで形成されます。このような、価格が一方行に動き続けることをトレンドと言います。多くのトレーダーは、トレンドをうまくとらえることに躍起になっています。ダウ理論では、トレンドは以下の3種に分類できると考えられています。

主要トレンド:トレンドの継続期間が1年〜数年
二次トレンド:トレンドの継続期間が3週間~3ヶ月
小トレンド :トレンドの継続期間3週間未満

原則3|主要トレンドには3つの段階がある
原則2では、トレンドが1年以上続くものを主要トレンドとすることを紹介しました。この主要トレンドは、さらに3つの段階に分けられます。この3つの段階を以下に示しますが、これは買いのケースです。売りの場合は逆に考えてください。

先行期:トレンドの始まりの期間です。価格が下落し尽くして、ごくわずかな投資家がもう底値だと判断し買い始めているところです。価格は下げ止まっているものの、上昇もわずかなことが多く、先行期を判断するのは至難の業ですが、もしこの期間をとらえることができれば当然儲けも大きくなります。

追随期:先行期を経て徐々に買い勢力が強くなり、価格が上昇し始めます。その上昇を見て、市場参加者が次々と買いポジションを立てていきます。チャートやテクニカル分析などでも明確なサインが出ることも多く、上手な投資家の多くはこの時期に取引を始めます。

利食い期:追随期を経過し価格が大きく上昇し、先行期に買いポジションを立てた投資家がそろそろ利益確定をする時期です。これ以上の上昇余地もありますが、限定的なことが多いです。先行期および追随期初期に買いを入れた投資家の利益確定が一巡すると、価格が一気に下落することもあります。

原則4|トレンドのサインは相互に確認できなければならない
2つの指標などを比較した際に、両方の指標で同じ方向を示すサインが確認できない限り、それはトレンドとは呼べないとします。トレンドのサインが全く同時期に出る必要はありませんが、同じサインが出る時期が近ければ近いほど、トレンドが出ているという信憑性が増すことは言うまでもありません。

原則5|トレンドは出来高でも確認されなければならない
トレンドとは言葉どおり、流行のようなものです。一般市場でも多くの参加者がいないと流行は生まれません。相場において出来高は、どれだけその相場に多くの参加者がいるのかという指標になります。参加者が多くないとトレンドは生まれません。ですから、テクニカル指標のサインだけではなく、出来高が増えているということが確認できなければ、それはトレンドではない可能性が高いということです。

原則6|はっきりとした転換サインが出るまでトレンドは続く
一度トレンドが発生すると、はっきりトレンドの終わりを示すサインが出ない限り、そのトレンドは継続するとされます。トレンドが発生したら買いを入れ、はっきりとした転換サインが出るまでは利食いを我慢するという忍耐強さも、相場で儲けるのに必要な要素です。

1-2.チャールズ・ダウとは|テクニカル分析の生みの親

チャールズ・ダウ(Charles Henry Dow)は、アメリカのコネチカット州出身の証券アナリスト兼ジャーナリストです。1851年に生まれ、1902年にニューヨークで亡くなっています。1851年といえば日本ではまだ江戸時代です。1902年は明治35年ですから、かなり昔の人ということがわかるでしょう。そんな彼が作ったダウ理論が、現代においてもまだ使われているのですから、不思議な気持ちになりますよね。

チャールズ・ダウは高校を中退して、新聞記者として活躍し始めます。その記事の多くは、ニューヨークの証券取引所での相場に関するものでした。その経験から、彼はダウ理論の礎を築いたとされています。

特に「株価(価格)はすべての事象を織り込んでいる」という彼の主張は、現代のあらゆるテクニカル分析が、相場で取引する際に有効であるとする主張の根拠ともなっています。そうした意味で、チャールズ・ダウは、テクニカル分析の生みの親と言ってもいい存在です。

2.ダウ理論の使い方

1章ではチャールズ・ダウが提唱したダウ理論を紹介しましたが、具体的にどう使っていけばいいのでしょうか? 実際の取引での具体例は次の章で解説しますが、それをよりよく理解するために、ここではまず基本的な話をします。

2-1.ダウ理論の目的はトレンドに乗ること

察しの良い方ならもうお気づきかもしれませんが、ダウ理論とは、簡単にいえばトレンドを把握し、そのトレンドにどうすればうまく乗ることができるかを考察したものです。つまり、ダウ理論をどう使えばいいかという問いの答えは、ダウ理論を使ってうまくトレンドに乗れということになります。その視点で、先ほど紹介したダウ理論の原則をもう一度見てみましょう。

まず、原則1の「株価(価格)はすべての事象を織り込んでいる」は、ダウ理論が拠り所にしているチャードで分析することには意味があるということを前提条件として謳っています。原則2の「ダウ理論には3パターンのトレンドがある」、原則4の「トレンドのサインは相互に確認できなければならない」、原則5の「トレンドは出来高でも確認されなければならない」については、現在トレンドが本当に出ているのかを確認するための手段です。

そして、ダウ理論を実際の売買で使うときに最も重要なのは、原則3の「主要トレンドには3つの段階がある」および、原則6の「はっきりとした転換サインが出るまでトレンドは続く」になります。なぜなら、原則3は取引を始める時(ポジションを取る時)の指標になり、原則6は利食い(ポジションを決済する時)の指標になるからです。

2-2.ダウ理論の高値・安値の考え方

ダウ理論の使い方を詳しく知る前に、アップトレンド(上昇トレンド)とダウントレンド(下降トレンド)について説明しておきましょう。まず基本的な考え方は、以下のようになります。

高値2か所以上と安値2か所以上が、切り上がっていたらアップトレンド
安値2か所以上と高値2か所以上が、切り下がっていたらダウントレンド

そして、ここで、気をつけなければならないのは、アップトレンドおよびダウントレンドの崩壊がすぐにトレンド転換とはならないことです。レンジを経て、程なくアップトレンドに戻ることも多いです。さらに重要になるのが、直近の高値あるいは安値を更新しているかです。これについては次章の具体例で解説します。

2-3.極論すればダウ理論だけで勝てる

おそらくダウ理論ほど、世界中の投資家の共通認識として持たれている指標も他にないでしょう。移動平均線は時には有効ですが、どの期間の移動平均線を使うかによって、エントリーポイントや利食いのポイントが異なってきます。また、他のさまざまなテクニカル手法においては、参加している相場環境にもよりますが、そもそも使っていない投資家がいても何ら不思議はありません。

しかし、ダウ理論は同じチャートを見ている限り、誰もが均一のサインを受け取ることができます。誰もが同じサインを見ることができるということは、非常に重要なことで、それだけサインが指し示す方向に今後相場が進む可能性が高いということを意味します。

しかし、ここにも問題があります。ダウ理論が同じ言葉を語っていても、人によって解釈が異なってくるからです。誤解して覚えている投資家も中にはいるでしょう。ですから、ダウ理論を正しく使うには、標準的なダウ理論の使い方や考え方を身につけなければならないでしょう。そうすることで、相場における一つの正しい型を手に入れることができます。

この型とは、空手や剣道などの武道の型と同じ意味合いで使っています。もっとスポーツっぽくいえば、フォームといってもいいでしょう。その型は、長く投資を続ければ続けるほど生きてきます。その具体例を次章で紹介していきましょう。

3.ダウ理論を使ったFX手法|日足や時間足でのトレード例


この章では実際にチャートを用いて、ダウ理論の考え方や使い方を解説します。まず何をすればいいか、エントリーポイントや利益確定のポイントなども説明いきましょう。また、ダウ理論の難しいところは、相場の波をどう捉えるかです。つまり、人によって波の見え方が異なってくるのです。それをできるだけ、客観的に見るためのMT4のツールも紹介していきます。

3-1.ダウ理論|環境を認識をするために水平線を引こう

チャートに斜めの線を引くのは、あなたもよく見るかもしれません。いわゆる高値と高値、安値と安値を結ぶトレンドラインです。確かにトレンドラインも有効ですが、それ以上に機能しやすいのは高値や安値から真横に引く水平線です。

なぜ機能しやすいかというと、誰が引いても同じ線になるからです。一方トレンドラインは多くの場合、10人いたら10人とも微妙に違う線になりがちです。どこをノイズと捉えるかで変わってきたり、かなり強引な線をトレンドラインと信じて取引したりしている人もいます。ですから、特に初心者の方が、現在相場がどんな環境にあるかを客観的に認識するのに水平線はより有効なのです。

では、実際に水平線を引いた図を以下に示します。

図のように、高値や安値に水平線を引いて、実際の価格がその水平線を抜けたかどうかで、トレンドが継続しているのか、あるいは終わりを迎えたのかを判断します。ダウ理論と水平線はかなり相性がいいのです。

3-2ダウ理論を使ったエントリーポイント

では、実際にダウ理論を使ってどこでエントリーすればいいかを説明します。以下の図を見てみてください。

Aが直近の高値ですが、すぐに売りに押されてBまで下落しています。今度はこのBが直近の安値ということになります。その後上昇を試すものの、Aを超えられず、またBを割ることもなく推移し、C地点では、Aも直前の高値も越えられていません。

その後売りに押されて、D地点でBを割り込みました。ここで、下落トレンドが成立しています。D地点でエントリーするのもありですが、通常は戻りを待ってからエントリーします。

注意して欲しいのは、一度直近安値を付けただけでは下落トレンドは成立しないということです。A・B・C・Dの4点が成立した時に下落トレンドとします。また、下落トレンドが成立したからといって、すぐに上昇トレンドに変化することもあります。上昇トレンドが成立するのは、上記とは逆の4点が成立した時です。

3-3.ダウ理論のトレンド転換の見方

次はトレンド転換の判断について解説します。率直に言えば、エントリーポイントの見方をマスターすれば、トレンド転換も見極めることができます。以下の図を見てみましょう。

a地点まで上昇トレンドが成立していました。しかし、相場はb地点まで下落します。エントリーポイントもそうですが、この下落した後の動きが重要なのです。b地点は言うまでもなく、直近の安値になります。その後、a地点の価格を目指して相場は上昇します。しかしa地点を超えることなく下落。そして、d地点でb地点の価格を割り込み、下落トレンドに転換しています。

覚えておいて欲しいのは、d地点でb地点の価格を割り込むまでは、上昇トレンドはまだ終わっていない可能性もあるということです。c地点から下落したものの、d地点を割り込むことなく再度上昇し、c地点を経てa地点を超えていくというのも相場ではよくある値動きです。

3-4.MT4でダウ理論を使う|オススメのインジケーター

ここでは、ダウ理論を使ってトレードする際におすすめのインジケーターを紹介します。ダウ理論では高値・安値を見るということが何より重要です。そこで、意外にも使えるのがMT4に標準装備されてる、ZigZagというインジケーターです。

ZigZagインジケーターの機能は単純で、単に直近の高値と安値を線で結んでくれるというもの。以下にZigZagインジケーターを表示させたチャートを示します。

単純ですが、ダウ理論を使って取引するなら、直近の高値と安値を結んでくれるだけで、随分と見やすくなると感じませんか。そして、実際に過去のチャートにZigZagインジケーターを表示させてみるとわかると思いますが、ZigZagインジケーターが引く線は、おおむねダウ理論通りに動いていることに気づくはずです。ZigZagインジケーターはダウ理論を知っていると、意外にも奥の深いツールになるでしょう。

ZigZagインジケーターとダウ理論で勝つコツは、なるべく損切り幅が小さくなるところで、エントリーして、トレンドの根拠が崩れるまで利益を積み上げるということです。たとえ、勝率自体は低くなったとしても、利益を伸ばすということを心がけることが最終的な結果につながりやすいでしょう。

4.本気でダウ理論を勉強するためにオススメの書籍は何?

もしかしたら、あなたはダウ理論を本で学びたいと考えて本を探しているのかもれませんね。しかし、そんな書籍はなかなか見つからなかったのではないでしょうか。

それもそのはず、ダウ理論はあまりに基本的で世の中に浸透しすぎていて、テクニカル分析の本ではダウ理論はすでに織り込んだ上で、執筆されている本がほとんどだからです。言い方を変えると、ダウ理論を前提として、その上に独自の理論やテクニカルを展開するものがほとんどだということです。

こうした理由で、ダウ理論を単一に扱う本はなかなか見つからないということになるのです。何かテクニカル関係の本を読めば、ダウ理論を織り込んで書かれているので、知らないうちにダウ理論を学んでいたということもあるでしょう。

とはいっても、何を読んでもいいということにはなりませんよね。優れた良書を読む必要はあります。あなたが特に、FXを中心に取引をしているなら、以下の記事が書籍選びの参考になるはずです。

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5.おわりに|ダウ理論には欠点がある

この記事では、ダウ理論について詳述しました。ダウ理論は、テクニカル分析の基本とも言える強力な理論です。けれど、実際に運用してみると気づくと思いますが、欠点もあります。それはシグナルが出るのが遅いということです。

ダウ理論で明確なシグナルが出た後に、ポジションを取ろうとすると出遅れ気味にポジションを取ることになります。また、ダウ理論どおりに取引しようとすると、損切り幅が大きくなりがちなことも見逃せない欠点です。ですから、多くの投資家はダウ理論に他のテクニカルを組み合わせて、これらの欠点を補おうとします。ですが、時にはそれがダウ理論の優位性を歪めてしまう結果を招くこともあります。

そして、もう一つ述べておかなければならないのは、ダウ理論が常に正確なわけではないということです。時にはダウ理論とは反対の動きをすることもありますし、意図的にそうした動きを起こそうとする機関投資家もいます。

しかし、先に述べたようにダウ理論は一つの型です。相場の状況によっては型を崩した方が一時的に儲かったり損失を防ぐことにつながることもあるかもしれません。しかし、長期的に考えると、型を守っている方が良い結果が出る可能性は高くなります。また、型を崩していくにしても、基本を知っていて崩すのと、知らずに崩すのは全く意味合いが違ってきます。

ですから、あなたが投資の初心者なら、まずダウ理論の考え方を正しく身につけてほしいです。それには、ここで記載したことを丁寧に読み取り、実際のチャートに照らし合わせてみることです。そして、自分自身でチャートに線を引いてみて、よく検証してみましょう。記事を読むだけでなく、実際に自分の手を動かすことが上達の近道です。これは強調しても強調しすぎということはありません。行動だけがあなたを変えます。過去のチャートも遡ってよく見てみましょう。チャートに描いた線の数だけ、あなたは相場に強くなっているはずです。